パシニャン首相はアルメニアの公共放送による取材に応じた中で、ロシアの平和維持部隊がもたらした要素についてコメントした。
パシニャン首相によると、ロシアの平和維持部隊が展開したことにより、紛争地域で戦争の勃発、または激化を防ぐことに繋がっているという。そのうえで、ロシアの平和維持部隊による保護のもと、カラバフ共和国が管理する地域にアルメニア系住民の帰還を進める意向を示した。
今後、住民は共和国の首都ステパナケルトに帰還し、復興作業を急ぐ模様。また、アルメニア政府も紛争で破壊されたインフラの修復に向けて協力を進める見通し。
なお、アルメニア野党は徹底抗戦を求めている。これに対しパシニャン首相は、停戦協定に合意しなければカラバフの首都ステパナケルトでは3万人のアルメニア兵が危険に晒されることになっていたと発言し、主要都市シュシャが陥落した劣勢の中で停戦協定に署名せざるを得なかったことに国民の理解を求めた。
カラバフをめぐるロシア・アルメニア・ アゼルバイジャン合意の内容
アゼルバイジャンのアリエフ大統領、アルメニアのパシニャン首相、ロシアのプーチン大統領は共同声明に署名。声明ではモスクワ時間2020年11月10日00時00分よりナゴルノ・カラバフ紛争地域における完全な停戦が宣言されている。
アゼルバイジャンとアルメニアは現在の位置に留まっており、ナゴルノカラバフの連絡線沿い、またナゴルノカラバフとアルメニアを結ぶ回廊沿いにはロシア平和 維持部隊が展開。国内の避難民・難民は国連難民高等弁務官の管理下に置かれたナゴルノカラバフ領および隣接地域に戻りつつある。捕虜やその他被拘束者、遺体の交換が行われている。同地域のすべての経済・輸送ラインは閉鎖されており、輸送管理にはロシア国境管理機関も一部協力している。
アルメニアのパシニャン首相は共同声明ついて、これは辛い決断だったが選択肢は他になかったと強調した。一方、アゼルバイジャンのアリエフ大統領は、合意文書の署名についてアルメニアの占領とコメントしている。