フィギュア特集

フィギュア全日本 初日の男女SPを振り返って

25日、長野のビックハットで 第89回全日本フィギュアスケート選手権大会が開幕。初日は男子、女子シングルのショートプログラム(SP)が行われ、男子は羽生結弦選手(26)が、女子は紀平梨花選手(18)が首位を占めた。
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羽生結弦選手は持病の喘息と大勢の観客を動員することへの懸念から、10か月間にもわたって公衆の面前には立たず、今シーズンは今日が初の大会出場。ファンたちは長い間ベールに包まれていたプログラムをようやく目にすることができた。ロビー・ウィリアムス作曲の「Let Me Entertain You」は、今までの羽生選手のイメージを塗り替えるアップテンプなロック。羽生選手は「こんなつらい中でも自分のスケートを皆さんが見てくれているので、明るい曲のほうがいいと思った」と選曲の理由を語っている。黒のクールなコスチュームがリンクを狭しと飛び回ると観客はこれに割れるような拍手で応えた。羽生選手は103.53点でトップに立っている。

​久々の大会で期待と緊張感の中で出場したのは羽生選手だけではない。94.22点で3位に入った宇野昌磨選手(23)は2本目の4回転からの連続ジャンプで転倒してしまった。それでも宇野選手は「きょうはすごく楽しかった。明日、もう1度滑らしてもらえることに感謝しながら、今日まで頑張ってきた自分を楽しませてあげたい気持ちもある」と笑顔を見せた。こう語る宇野選手は長くコーチが決まらず発進した昨シーズンの逡巡がふっきれたのかもしれない。

2位には1つもミスを出さなかった高校生ホープの鍵山優真選手(17)が98.60点で入った。シニア入りたてにもかかわらず、着実に成績をあげている鍵山選手は昨年の全日本で3位に輝いており、本大会ももちろん入賞を狙っている。

フィギュアコーチのプルシェンコ氏 春に肺炎で集中治療室に入院していた
女子SPは、紀平梨花選手(18)が79.34点で首位。ロシア女子が世界で互角に戦えるライバルとして認める紀平。フェミニンな印象の曲が多かった紀平選手が選んだ曲はThe Fire Within。炎を想起させる赤と黒の衣装、後半で披露した片手をついて回った側転に会場は大きく沸いた。紀平選手は昨年の全日本で優勝しており、二連覇を狙っている。フリースケーティング(FS)で頑張ってトレーニングを積んできた4回転サルコウが決まるかどうか、ロシアも大きく注目している。

2位は坂本花織選手(20)が71.86点で、3位には三原舞依選手(21)が69.55点で入った。GPのNHK杯でGP初優勝を飾ったばかりの坂本選手は練習の成果が出しきれず「悔しいの一言」とほぞをかんだ。三原選手は体調不良で昨シーズンは一度も出場できなかった。一時はリンクにもたてないほどの状態から、治療に専念して大会に復帰。三原選手には滑ることのうれしさを知り、精神を鍛えた強みがある

コロナウイルスの感染拡大でフィギュアの大会が相次いで中止となる中、今年を締めくくるビックイベントに選手も観客も期待感は最大値まで高まっている。男子のFSは明日、26日、女子は27日に行われる。


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