1月23日、モスクワをはじめとするロシア各地で、ナワリヌイ氏を支持する違法集会が行われた。デモ参加者はナワリヌイ氏の釈放を要求。ロシア内務省と検察庁は違法集会の主催者および一般参加者の責任について警告していた。支持者らは警官隊と衝突し、各地で多くの参加者らが拘束された。
ロシア南部にあるアストラハン国立大学のマルケロフ学長によると、政府の勧告にも関わらず、一部の学生が無許可の集会に参加し、行政罰に処されたという。そこで学長は学生らに宛てた投稿の中で、「皆さん一人ひとりのことを思う気持ちはある」ものの、「法律は法律」とし、学内の規定に従って学生らを退学処分としたことを明らかにした。ロシアでは31日にも全土で無許可の集会が予定されている。そこで学長は「集団の中には扇動者が潜んでいることもあり、非常に悲しい結果につながることもある」とし、無許可集会には決して参加しないよう、学生らに呼び掛けた。
ロシアの野党指導者として知られるアレクセイ・ナワリヌイ氏は現地時間の17日夜、治療先のドイツから帰国し、モスクワのシェレメチェボ国際空港に到着して間もなく当局に拘束された。ナワリヌイ氏はこれまで2度の横領容疑で執行猶予付きの有罪判決を受けていた。加えて12月末には新たな横領容疑が発覚したことにより、ロシア連邦検察委員会はナワリヌイ氏を再び起訴していた。
1月31日に無許可の集会が企画されていることを受け、最高検察庁とロシア内務省は大規模な暴動による刑事罰は最大で懲役15年になることを国民に喚起している。すでにノボシビルスク市では抗議活動の参加者が略奪を呼び掛けたことから、検察は刑事責任の追及を検討している。さらに、ロシアでは新型コロナウイルスの感染拡大による警戒態勢が導入されていることから、抗議活動への参加は刑事罰に加えて行政罰も適用されることを内務省は市民に周知している。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は抗議活動のオーガナイザーについて、「扇動者」と呼んでいる。
抗議集会についてはウラジミール・プーチン大統領もコメントを発表している。意見を主張する権利は誰にでもあるとしつつ、「法律の枠組みを超えた行為はいずれも非建設的なだけでなく、危険」であり、「未成年者を巻き込むようなことがあってはならない」と強調している。