16日の記者会見で加藤官房長官は、尖閣諸島に侵入した4隻の中国船のうち1隻は「砲のようなもの」を搭載していたことを明らかにしている。日本政府は東京、および北京の外交ルートを通じて中国側に抗議した。
注目に値するのは今回の侵入が、中国で1月22日に発効した法により、中国海警局には領有を主張する水域において外国船舶に発砲することが許可された後に発生したことであろう。この他、この法は中国海警局に対し、中国が領有権を主張するサンゴ礁、島に他国が建造した建造物を破壊し、占拠したり、中国の水域に不法に入った外国船に退去を命じる権利を許している。ところが日本の海上保安庁には武器の使用は法で厳格に禁じられている。世界の専門家らは中国が採択した法は南シナ海、東シナ海の紛争リスクを拡大してしまう恐れがあると考えている。
2月9日のブリーフィングで米国務省のネッド・プライス公式報道官は、米国は「Quadを著しくはずみをつける、重要なポテンシャルを持つメカニズムと捉えており、海上の安全保障など従来の分野におけるパートナー諸国との協力を深化させつつ、これを発展させていく構え」であることを明らかにしている。
ロシアの戦略計画予測研究所のアレクサンドル・グセフ所長はスプートニクからの取材に、クアッドは現時点ではNATO、WTO、EUのように法的な形をとった陣営ではなく、参加する諸国にとっては「国益による集まり」であり、安全保障の死活的に重要な要素であるとして次のように語っている。
日本にとっては中国は貿易、経済の重要なパートナーだが、一方で両国の間では東シナ海の領土論争が絶えない。2020年9月、菅首相は中国、ロシアをはじめとする近隣諸国との安定した関係の発展を目指す意向を示したが、同時にクアッドの基底にある、開かれた自由なインド太平洋地域の構想を推し進めていくとも明言している。オーストラリアといえば、2020年に輸出品の主力である石炭、銅、製材、大麦、砂糖、ワインなどの買い付けを中国から打ち切られている。インドと中国の関係は2020年夏の国境紛争で決定的に悪化した。この紛争でインドは軍事に損失を出している。
4か国の中にたまり溜まった中国へのクレームは2020年、海上合同軍事訓練の実施という形で噴出したが、これはもう裏も表もない明らかなシグナルとなった。今の予定ではクアッドはサミットを計画しており、ポジションのすり合わせの他、行動計画が構築される。
ただしそれぞれの国には独自の国益があり、何らかの義務に縛らることは誰も望んでいない。このためクアッドは法的な形をとらない陣営でありつづけ、諸国は出入りが可能となるだろう。すべてはこれら4か国がこのメカニズムをどのように発展させたいと考えるかによる。ただし、中国が思慮を欠いた行為を行い、生まれたばかりの同盟が尽力を強める方向に秤を傾けてしまうこともありうる。」