南クリル諸島の帰属は露日平和条約交渉の対象外=露外務省

日本との平和条約交渉で南クリル諸島(日本では北方領土)を譲渡するという議題をロシア側は憲法により議論することさえ認められないものの、平和条約交渉そのものを継続する用意は整っている。ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ公式報道官がYouTubeチャンネル「アントニム」(対義語)の生中継に出演した中で発言した。
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日本の加藤勝信官房長官は2月15日、日本政府はロシアとの平和条約交渉を継続していく姿勢を明らかにしたほか、南クリル諸島の帰属については「引き続き粘り強く取り組む」と強調した

北方領土の日 在日ロシア大使館前の抗議活動

加藤官房長官の発言はロシア側で様々な反応を呼んでいる。平和条約交渉締結のためにも日本側にクリル諸島を「返還」すべきではないか、という番組司会からの質問に対し、ザハロワ報道官は次のようにコメントした。

憲法により、どんな形であれ不可能です。このテーマを議論することも。なぜなら憲法があるから。我々としても、総じてこのテーマについてディベートしない方が得策です……我々は交渉の用意が出来ています。我々は交渉しましたし、常に行っています。我々には用意があり、話を進めている一方、彼ら(日本政府:スプートニク編集部)はどういうわけかアメリカ合衆国との連携強化などを放棄せず、迎撃ミサイルなど、相応のシステムを自国に展開しています。

続けて番組の中でザハロワ報道官はこれまでの交渉を踏まえ、露日間の正常な二国間関係の発展に期待するとした。

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露日間の領土問題

日本は1855年に調印された日露和親条約(日露通好条約)に基づき、クナシル島(国後島)、シコタン島(色丹島)、イトゥルプ島(択捉島)、ハボマイ島(歯舞島)を要求している。日本政府は、ロシアと日本との平和条約締結の条件として4島返還を求めているが、第二次世界対戦終結にからむその条約の調印は実現できていない。 1956年、ソ連と日本は共同宣言に署名。その中でソ連政府は、日本との平和条約が締結された場合に2島を日本に引き渡す可能性を検討することに同意している。ソ連はこれで終止符を打つことを望んでいたが、日本は全島返還の要求を放棄することなく、共同声明は問題解決の一部に過ぎないと捉えていた。その後に行われた交渉では何の結果ももたらされていない。 ロシア政府の立場は、島々は第二次世界大戦後にソ連領となり、ロシアがこれらの島々に対して主権を有しているのは疑いようがないというものだ。

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