現在、ロシア代表のトップに位置しているのが、すでに世界選手権出場の権利を手にしているアンナ・シェルバコワ。今シーズン、シェルバコワは3度目のロシア女王の座に輝いた。
ワリエワは現在、2022年の北京冬季五輪での金メダルがもっとも期待される選手であるが、今年はまだ年齢制限により、ストックホルムでの世界選手権には出場できない。
「ロシアのロケット」の異名を持つアレクサンドラ・トルソワ(ロシア選手権3位)が早々に、世界選手権の2つ目の出場枠を手にする(ロシア杯ファイナルでの選抜を経ず)ことができたのもそのおかげであると言える。トルソワは、新プログラムでの演技をかなり完成度を上げてきているが、「独自の」4回転ジャンプではまだ不安定さが見られる。
世界選手権でロシア代表チームのレベルを「より高いものにする」ことができる別の候補が、エリザベータ・トゥクタミシェワとアリョーナ・コストルナヤである。専門家らは、世界選手権の最後の1枠はおそらくこの2人の争いになるだろうと見ている。
アイスダンスのオリンピック銅メダリストで現在はコーチとして活躍するアレクサンドル・ジューリン氏は、モスクワでの大会について、次のように述べている。
「トゥクタミシェワとコストルナヤの争いは、美しく、目が離せないものになるでしょう。2020年のヨーロッパチャンピオンであるアリョーナ・コストルナヤが新型コロナ感染と故障の後、どのようなコンディションにあるのか、皆が注目しています。体力的に回復しているといいのですが」。
トゥクタミシェワはこのロステレコム杯のフリー演技で、アクセルを2回跳んで、観客を驚かせたが、コーチのインナ・ゴンチャレンコ氏は、彼女は、ロシア杯ファイナルでも、世界選手権でロシアを代表するに値するほど最高のコンディションであることを証明しようとしていると指摘する。
「トゥクタミシェワは非常に経験豊富な選手で、世界選手権の出場権を手に入れる戦いに相応しい人物です。しかし、ロシア杯ファイナルでの女子シングルの順位はどのようなものになっても不思議ではない状況です。シニアデビューの選手たち(ワリエワ、ウサチョワ、フロムィフ)が今回、トゥクタミシェワやコストルナヤとともに世界選手権の出場をかけた戦いに参加できないのは、年齢のためだけです。またグリャコワ、サモドゥロワなど、年齢の高いライバルもいます。というわけで、トゥクタミシェワとコストルナヤの一騎打ちというよりも、もっと複雑で厳しい様相を呈することになると思います」。
エレーナ・ラジオノワ氏(女子シングルで史上初めて、ジュニア世界選手権で2度優勝)はアリョーナ・コストルナヤが大会を欠場していた期間があまりにも長すぎたという意見に同調している。
「重要なのは、アリョーナが病気の後、完全に復活できたのかどうか、そしてその後、さらに進化させることができたのかを見ることができるということです。彼女は構成においても、技術においても非常に強い選手です。ですから、皆、彼女が素晴らしい復活を果たすことを期待しています」。
というのもコストルナヤは、コロナの影響により、新しいプログラムの振り付けを電話で習得することになった。ラジオノワ氏は、コロナによって制限された条件下で、コストルナヤがカナダの有名な振付師シェイ=リーン・ボーンと共にどのような作品を仕上げてきたのかを目にするのは非常に興味深いと述べている。