学者らは、過去の気候・気象調査のデータと、グリーンランド、アイスランド、カナダ、ドイツの沖合で採取された土壌サンプルの分析結果を組み合わせ、メキシコ湾流とそれに関連する海流の状態がローマ帝国の崩壊から現在までどのように変化したかを調査した。
学者たちは、海底のさまざまな層で採取されたサンプルの窒素、炭素、酸素の同位体濃度を測定し、これらの層が形成されたときの海水の温度と塩分濃度を調べた。
結果、メキシコ湾流や北大西洋のその他の海流は、150年以上前から徐々に弱まっていることが示された。学者らによると、これは自然起源の気候変動や人間の経済活動と関係している可能性がある。
学者らは、これらの海流は特に1960年以降、急速に減速したと指摘している。これは、もっぱら人為的要因と関係しているという。学者らは、この傾向が今後100年間続いた場合、メキシコ湾流が完全に停止する可能性もあるとしている。これによって地球の気候は大きく変わってしまう。例えば、欧州と北米では冬がより厳しくなるが、その反対に夏の数カ月間は異常に暑くなり、深刻な干ばつを伴う恐れがある。また米国沖ではより速いペースで海面水位が上昇し、英国では強い嵐の数が増える可能性がある。大西洋の水位は全体として明らかに上昇する恐れがあるという。