米ニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの研究者らは今回、新型コロナウイルス感染後に神経機能障害と診断されたがん患者18人を対象とし、その患者らの脳脊髄液を分析した。神経機能障害は倦怠感や記憶力の低下、意識混乱などの症状が特徴で、「脳の霧」や「コビッド脳」と呼ばれることがある。
研究者らは、患者らの脳脊髄液に高レベルのサイトカインを発見したことから、この一連の症状を説明できるとしている。いくつかのケースでは、新型コロナウイルスはサイトカインの過剰生産を誘発し、生命を脅かすいわゆるサイトカインストームを引き起こす。免疫系で発生したサイトカインストームが脳に流れ込むと、脳症の症状が起こり、個々の神経細胞が死滅してしまう。
これらの結果を受けて研究者らは、新型コロナウイルスと感染後の神経学的影響との間の正確な関係性を解明するためには、より多くのデータが必要だと指摘している。
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