肖像画はディラン君の母親が祖父母から形見として受け取ったもの。母親の話では、王の肖像画は自分が幼い時は食堂の壁に描けられており、子どもらはいつも王様に自分たちのテーブルマナーを監視されているような気がしていたという。ところが新しい家に引っ越すと、跳ねとんだスープの跡などで汚れたこの絵は物置入り。時が過ぎ、息子が英国王朝史にはまる姿に母親は古い絵を思い出し、息子に贈ろうと思ったという。なぜかディラン君が一番ご執心なのは、まさにこの、17世紀半ばにスチュアート朝に君臨し、「陽気な王様」の異名を持ったチャールズ2世だった。
ところが絵はどう見ても修復の必要ありの状態。そこでディアン君は母親にBBCの「ザ・リペア・ショップ」に絵を持ち込んで、何とか直してもらおうと懇願した。そしていざ、この絵に番組のアンティーク修復の専門家らが対面すると、驚くべき事実が発覚した。なんと、この肖像画はチャールズ2世の存命中、1660年あたりに、画家が実際にポーズする王様を目の前にして描いたものだったのだ。それだけではない。絵の額縁も同じく17世紀の作だった。テレグラフ紙によれば、鑑定士らはディラン君のお気に召した肖像画は極めて稀少な作品で、博物館に所蔵される値打ちがあると語っている。
芸術作品は慎重に注意を払わないと大変な目に遭う。先日、韓国ソウルのストリートアート展示会でも来館者が誤って50万ドル(約5500万円)の抽象絵画を損傷してしまう事件が起きている。
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