防衛装備品の輸出の加速化に乗り出す日本

日本は防衛装備品の輸出促進に向け、日本製品の購入を希望する国に購入しやすい環境を作るため、低金利の融資を行う。日本政府は、2014年に輸出の解禁を決定したが、十分な成果は上がっておらず、日本の防衛武装品の輸出量は少なく、取引高も大きくない。
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政府が活用するのは、これまで民間の案件のみを取り扱ってきた政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)である。日本は、海外製の武器に匹敵する高性能な防衛装備品を、世界の市場に向けて幅広く、輸出することができる。一例を挙げれば、そうりゅう型潜水艦、艦艇、水陸両用機、多用途ヘリコプター、戦車、無線機などである。しかしながら、日本の防衛装備品は高額で、これが外国政府が購入に二の足を踏む要因となっている。読売新聞によれば、資金不足に悩む途上国が低利融資を購入条件として求めてきたケースもあったという。しかし、民間の金融機関では利率などで折り合えないことが多く、政府は低利融資の枠組みを整える必要があると判断した。

日本は「和牛」と引き換えに装備品を輸入することができるのか?
一方、日本の輸出企業に対しては、国が全額出資する日本貿易保険(NEXI)の利用を促す。NEXIは民間保険会社が対応していないリスクの高い海外取引の保険を請け負っている。しかも商業的なものはもちろん、政治的なリスクに対する保険にも適用される。

このような低利融資の支援によって、日本は世界市場における防衛装備品の主要な輸出国となることができるのだろうか?また日本がこの分野で思うような成果を上げられない要因は、高額な価格以外にもあるのだろうか?「スプートニク」はモスクワ国立国際関係研究所のオレグ・パラモノフ上級研究員に話をきいた。

「日本が、防衛装備品の輸出先として、クアッドおよびフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドといった東南アジアを見込んでいるのは明らかであり、低利融資という新たな条件は、こうした国々との協議において肯定的な役割を果たすと思われます。しかし、日本の製品の原価が下がらない限り、輸出が伸びることはないでしょう。価格が高額である以上、各国には大きな選択肢があり、輸出先は見つかりません。日本では民間企業が防衛武装品の製造を行なっています。そこには競争もありませんし、収益性を上げるため、販売数もそう多くありません。しかし、問題は他にもあります。これまでほぼ国内市場にしか供給したことのない企業には、海外に向けた輸出の経験がないため、マーケティング戦略も練られていません。2014年に大きな期待とともに武器輸出が解禁された後、防衛武装品の輸出を、1960年代から1970年代にかけて日本製の自動車や電化製品の輸出と同じように大きく伸ばすことができなかったのもこのためです。民間製品のマーケティング戦略は、活動が透明とはいえない国々の軍関係機関には通用しなかったのです」。

パラモノフ氏は、もう1つはイメージの問題であると指摘する。

「さまざまな武器や設備を製造している日本のほとんどの企業は、民生品の製造で世界的に知られています。また、日本の武器輸出は2014年から解禁されていますが、軍事行動が行われている国々、また『世界の平和』に対する潜在的リスクを持つ国々への輸出は依然、禁止されています。しかし、軍事行動に発展するような新たな紛争がいつどこで起こるかは誰にも予測できません。そして日本の企業はこのような紛争において日本製の武器が使われ、それにより、『死の商人』というイメージを植え付けられることを警戒しています」。

日本は現在、海上自衛隊の護衛艦の輸出についてインドネシア政府と交渉を続けており、この取引でも、低利融資の支援制度の適用を提案するとみられている。インドネシア政府は、南シナ海に浮かぶナトゥナ諸島の経済水域に進入してくる中国海軍の艦艇からの脅威を受けており、艦隊による警備体制の強化を目指している。

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