東京五輪開幕までにアスリートたちがワクチン接種をする意味はあるのか? 感染症専門医の見解

新型コロナウイルスのワクチン接種が自発的なものであることはよく知られていることであり、東京五輪に出場するためにすでに来日した選手、あるいはまもなく来日しようとしている選手のすべてがワクチン接種を受けているわけではない。日本は危険な新型コロナウイルスの蔓延を予防するため、前例を見ない安全措置を講じているが、多くのことは参加選手たちの意識のあり方にかかっている。
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英国選手団は370人で構成されているが、そのほぼすべての選手がすでに2回の接種を終えている。ただし、一部の選手は、自身にとってきわめて重要な大会を前に、副反応が体調にネガティブな影響を及ぼすことを懸念し、接種を行っていない。しかしながら、英国オリンピック委員会のアンディ・アンソン委員長は、そうした選手に対しても接種する必要があることを説得するつもりだとしている。とはいえ、ガーディアン紙が報じるところによれば、いずれにせよ、選手団の90%は少なくとも1回目の接種を終えることになるという。

一方、ベルギーオリンピック委員会は、およそ10人の選手が2回目のワクチン接種を行っていないことを明らかにしている。この選手らもまた、大会を目前にして体調やコンディションに影響が出ることを恐れているためだという。日本ではこれまでに、成田空港で行われたPCR検査で、ウガンダ選手団の1人が陽性であることが確認された。この選手は日本に入国できず、残りの8人は新規感染を回避するため、隔離され、毎日PCR検査を行うこととなっている。

現在、連日、様々な国の選手団が日本入りしている。その国の感染率やワクチン接種率はさまざまである。国際オリンピック委員会は選手に対し、ワクチン接種を推奨しているが、これはもちろん義務ではなく、最終的な決定を下すのは選手自身である。日本は感染爆発を予防するために最大限の安全対策を講じている。

オリンピック開幕までにワクチン接種を行う意味はあるのだろうか?そしてそれは選手らのコンディションにどのような影響を与えるのだろうか?「スプートニク」は、パブロフ記念第一サンクトペテルブルク医科大学のオクサナ・スタネヴィチ感染症専門医にお話を伺った。

「パンデミックが終息していないこと、また五輪大会期間中は多くの選手たちの間で接触が避けられないことを考慮すれば、選手間、またはそれ以外の人との接触による感染のリスクは大きいでしょう。ですから、ワクチン接種は自身を感染から守るための手段であり、また他の人に感染させないための責任でもあります。もちろん、ワクチンによる免疫反応を得るため、大会の20日前までに接種を受けるのが理想的です。ほとんどの場合、ワクチン接種による副反応は軽く、最悪の場合でも、軽い頭痛や接種した部位のかゆみ、軽い倦怠感が出るくらいです。しかし、これは自分自身や周囲の人を危険に晒すよりはずっと良いのです。過去にさまざまなワクチンの接種によるアナフィラキシーショック、血栓症の発症、心筋炎の発症などの例は出ていますが、こうした問題が起こる確率は非常に低いです。いずれにせよ、新型コロナに感染したときの方がずっと危険であり、感染すれば、アスリートたちはより長期にわたって、選手として活動できなくなります。ですから、わたしの見解では、今の段階でワクチンは危険な感染症の蔓延を食い止める唯一の方法だと思います」。

スタネヴィチ氏によれば、感染した場合、その後の症状の経過には遺伝的気質があるという。

「年齢にかかわらず、軽症の場合と、症状をコントロールできない状態となるような重篤の場合があります。そのどちらなのかは、どのような薬を使っても、どのような治療法を行っても、影響を与えることができないものです。しかも、深刻な結果を引き起こす、客観的で明確な前提条件がまったくないという場合もあるのです」。

スタネヴィチ氏は、どの患者がどのような病状をたどるのかを前もって予測することはほぼ不可能だと強調する。そこで、ワクチン接種は、リスクを回避するために重要なものなのだとスタネヴィチ氏は締めくくっている。


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