ジェトロ、ロシアのスタートアップ・エコシステムを日本に紹介:政府主導でコロナ禍でも拡大

5日、ジェトロ(日本貿易振興機構)はウェビナー「オープンイノベーション塾(ロシア編) 第1部 ―有力スタートアップ企業の輩出を支える仕組みとオープンイノベーションの可能性―」を開催した。モスクワは2021年度、世界中の1000都市を比較するStartupBlinkのスタートアップエコシステムランキングで9位を獲得。国別のランキングでも100か国中17位と、大きなポテンシャルを見せつけている。ウェビナーでは、ロシアのエコシステムの概要・特徴について3人の専門家が解説した。
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ジェトロ・モスクワ事務所の梅津哲也所長は、資源・エネルギーに依存する経済構造から脱却したいロシアは、政府主導でスタートアップ振興を進めていると指摘。IT技術者などロシアにおける優秀な理数系人材の層の厚さについても紹介した。

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梅津氏によると、ユニコーン企業と呼ばれる、評価額が10億ドル以上の企業が5社誕生しており、オンラインショッピングモール「ワイルドベリーズ」やメッセージアプリ「テレグラム」など、ロシアの日常生活に浸透しているサービスもその中に含まれている。また、7月には世界シェアトップを誇るロシア発の単層カーボンナノチューブメーカー「オクシアル」が、ダイキン工業からの出資を受け入れたことを発表した。両社はリチウムイオン電池開発での協力を強化する。

モスクワにおけるエコシステムはスコルコヴォを中心として形成されている。スコルコヴォはモスクワ郊外にあるロシア最大規模のイノベーションセンターで、複数の日系企業も入居しており、研究開発を進めている。

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スコルコヴォを運営するスコルコヴォ基金・国際協力部のリリヤ・アディヤトゥリナ氏によれば、エコシステムとしてのスコルコヴォが目指すのは入居者の開発した技術の商業化と国際展開だ。毎年開催するオープンイノベーションフォーラムやスタートアップ・ヴィレッジといった大規模行事のほか、今年は新プログラム「スコルコヴォ・グローバル・キャンプ」をスタート。このプログラムでターゲットとなる市場のひとつは、日本だ。

スコルコヴォにはソフトランディング・プログラムという海外スタートアップのロシア市場進出を支援する制度があり、参加は無料だ。このプログラムを修了した企業が実際にスコルコヴォに入居した例もある。

ロシア直接投資基金の傘下組織で、民間ファンドに対して融資を行なう国有基金「ロシアベンチャーカンパニー」のアニ・オガネシヤン氏は、自身が国際プロジェクトリーダーを務めるコーポレート・アクセラレーター「GenerationS」について紹介した。

ジェトロは、7月に「ロシア・スタートアップエコシステムの概要と企業実態‐日ロ連携の展望‐」と題したレポートを発表。ロシアスタートアップとの新ビジネスを検討する日本企業にとって充実した内容になっている。

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