予想外の復帰
ドミトリエフ選手は、1992年アルベールビル大会と1998年の長野大会の五輪ペアで優勝のアルトゥール・ドミトリエフさんを父にもつ。3年のブランクを経て全米選手権の選考会に出場し、決勝進出を決めた。
全米選手権の予選4回戦で3位の成績だったが、2022年に行われる決勝大会進出に必要な得点をクリアすることができた。
ドミトリエフ選手は練習で初めて4回転半ジャンプを成功させた選手として知られている。今回もショートとフリーで4回転トゥループを入れる構成だったが、現在のところまだ4回転ジャンプは跳ばないでいる。
国籍を変えて
ドミトリエフ選手自身は、将来を楽観視している。ただ来年に迫った五輪代表入りに照準を合わせているわけではない。ドミトリエフ選手は、2019年から膝の治療に専念し、手術を受け、徐々に回復してきた。体が完全に整うことに重点を置き、試合出場によってケガを増やさないようにするためだ。
競技国籍を変更したのは、ロシアではすでに展望がないと思われていたからだと話す。ドミトリエフ選手によると、国籍変更の話が出た時に、ロシアスケート連盟は反対しなかったという。
他の国からも誘いはあったが、同選手は競争の激しい米国を選んだ。
ドミトリエフ選手は現在、妻で元選手のエカテリーナ・ウコロワさんのもとで練習しており、時々、母の新体操世界チャンピオンでフィギュア振付師であるタチアナ・ドルチニナさんの指導を受けている。スケートは主にチェリャビンスクの一般リンクで練習し、ストレッチやバレエ、ウエイト器具を用いた練習に多くの時間を割いている。今後米国に行けば、アイスリンクやトレーニング専門家にも選択肢や可能性が増えるだろう。
ドミトリエフ選手は、今のところ試合では成功させていない「自身の代名詞」の4回転半を復活させ、他の4回転ジャンプを増やすと自信をもっている。