ワクチン戦争、新たな変異株、オリンピックに新首相 スプートニクが1年を総括

酒なし、オリンピックとワクチンあり:2021年の日本のコロナ対策

コロナ禍の2年目が終わろうとしている。日本は2021年をどんな状態で終えるのか。どのようなコロナ対策が最も功を奏したのか。スプートニクがお伝えする。
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ワクチン接種率でトップ
国産ワクチンがないことから、日本のワクチン接種の開始は他のG7諸国に比べて遅かった。コロナ対策の最前線にいる医師や看護師のために最初のワクチン4万回分が送られたのは2月である。政府が採用したのは、厚労省が最初に承認した、アメリカのファイザー社のワクチンだった。このほか、政府はアメリカのモデルナ社とスウェーデンとイギリスのアストラゼネカ社ともワクチン供給契約を締結した。
しかし、大規模接種が始まったのは6月であり、まもなく国民がワクチン接種に殺到した。東京の渋谷に、予約なしでワクチン接種を受けられる接種センターが初めて開設されたが、開設初日には若者を中心に数千人の大行列ができた。ワクチン接種を受けられる人を抽選で選ぶ事態にまで発展した。
それでも、国民の規律正しさとワクチン接種に対する責任感が威力を発揮した。秋の終わり頃には、人口1億2500万人の75.5%が2回のワクチン接種を済ませ、感染数は大きく減少した。ファイザー社が5歳から11歳の子どもへの接種許可を日本に申請したことで、低年齢の子どものワクチン接種の議論も進んでいる。こうして、日本は、接種率75.2%のカナダに次いで、G7の中でワクチン接種率が2番目に高い国となった。
新型コロナウイルス
非難の文化:新型コロナの感染者が謝罪しなくてもよい理由
菅元首相は、政府は3回目の接種開始の準備を進めていると語った。
「これまでの関係者の一人一人のご協力が私には大変ありがたく、誇らしい気持ちでいっぱいだ。3回目の接種も見据え、すでに2億回分の契約を結んである。年内にも3回目接種が開始できるよう、準備を進める。」
外飲みはダメで、オリンピックやコンサートはいいのか?
ワクチン接種は希望の持てる結果をもたらした。11月7日、日本では15ヶ月ぶりに新型コロナ感染での死亡数がゼロになった。
日本では、欧米諸国や中国と違い、厳しいロックダウンは実施されなかったが、政府は自覚ある行動を何度も呼びかけた。例えば、小池都知事はある記者会見で、コロナ禍を災害に例えて、次のように言った。「外出を控えてください。今日もたくさんの人が出ておられますが、大雨もコロナも同じです。災害になります。よろしくお願いします。」
この発言で、緊急事態宣言とあわせて実施された、レストランでのアルコール提供の制限について、根拠を説明した。
極端なコロナ対策もみられた。例えば、春には、外国人と同席しないようにという呼びかけが議論をよび、当事者はまもなく謝罪を余儀なくされた。
制限措置で多くの業界が苦況にある中、コンサートは部分的にコロナ前の状態に戻った。なかには、通常とまったく変わらない体制でコンサートを開催し、予想通り多くの人が憤慨したケースもあった。
もうひとつの躓きの石は、何があってもオリンピックを開催するという決断だった。当時の東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)は、「ぜひ、どんなことがあってもやります」と明言した。
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それでも、ほぼ無観客、外国人の観客ゼロでのオリンピック開催は、観光業界のみならず、日本経済全体にとって大きな打撃となった。オリンピックの開催による日本のコストは、延期も含め、153億ドルにのぼった。
また、外国人観光客の日本入国が禁止され、それ以外の入国者も2週間の隔離が必須である中、IOCのトーマス・バッハ会長の日本への出入国は自由だった。
経済対策
経済支援策も論争を呼んだ。例えば、年収960万円未満の家庭に対する18歳以下の子ども1人あたり10万円相当の給付がそれだ。
「議員給もクーポンに」 なぜ子どもへの支援金はクーポンになったのか、そしてなぜこの支援金が社会を分断させているのか?
岸田首相は選挙公約でコロナ対策のための具体的な経済対策を掲げていたものの、それでも人々はこの対策に憤った。
「そして、新型コロナによって大きな影響を受けている人たちを支援するため、経済対策を策定する方針を明らかにし『コロナ禍で大変苦しんでいる女性や非正規、学生の皆さんといった、弱い立場の方々に個別に現金給付を行うことは考えていきたい』と述べました。
また、経済政策について『わが国の未来を切りひらくための新しい経済社会のビジョンを示していく』と強調し、所得の増加によって分厚い中間層の復活を目指すため『新しい資本主義実現会議』を立ち上げる考えを改めて示しました。」
現在、この措置、とりわけ現金とクーポンに分割して給付する決定について、世論の意見は割れている。この措置が経済にもたらす影響が明確になるのは来年以降だろう。
本記事の執筆時点の日本全国の1日の新規感染者数はわずか113人、そのうち東京の感染者数は17人である。
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