露米首脳会談、ウクライナが焦点に

この度の露米大統領によるオンライン首脳会談の結果を、不要な情報を排除し、より簡潔に表現するとしたら、バイデン大統領はウクライナに対する影響力を拡大しようとする試みをやめるようロシアに求め、プーチン大統領はウクライナをその影響下に置こうとするのをやめるようNATO(北大西洋条約機構)に求めたということになるだろう。そして総じて問題は1つ。この原則的な問題において、妥協点を見出すことは可能なのかどうかということである。
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両大統領は、2021年6月、スイスのジュネーブで開かれた露米の直接会談で、戦略的安定問題、核軍縮、サイバーセキュリティ、アフガニスタン情勢、シリア情勢などについて意見を交わした。このとき、ウクライナ問題は主要な問題としては扱われなかったが、ソ連崩壊後、露米の間で常にそうであったように、それは両国にとって重要な意味を持つものの一つであった。
そして、今回のオンライン首脳会談では、この問題に関する要求が、両国の大統領の口から、明確に述べられた。
ロシア政府が首脳会談終了後に表したプレスリリースでは、ウラジーミル・プーチン大統領は、NATOはウクライナ領土を獲得するための危険な試みを行い、国境付近での軍備を増強させていると強調し、ロシアはNATOがこれ以上、東方に拡大したり、ロシアに隣接する国に兵器を配備したりしないような法的な保証を得ることに大きな関心を抱いていると述べたと指摘されている。
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一方、ロシアのユーリー・ウシャコフ大統領補佐官は、プーチン大統領は会談の中で、「レッド・ライン」(互いの越えられない一線)について、次のように伝えたと説明している。「レッドラインとは、NATOの東方拡大やウクライナおよびロシアと国境を接するその他の国の領土に、ロシアの脅威となるような兵器―特に攻撃兵器―を配備しないというものである」。
つまり、ウクライナがロシアに隣接するフィンランドのような中立国にならなければ、世界を核戦争の寸前に追い込んだ1962年のキューバ危機のような状況になりうるというわけである。
一方、米大統領府もすぐに声明を表し、バイデン大統領は、ロシアがウクライナ周辺で軍備を増強させていることについて、米国と欧州の同盟国は深い懸念を抱いているとし、ロシアがウクライナに侵攻すれば、強力な経済措置やその他の措置で対応すると警告した。
一方、会談に出席した米国のヴィクトリア・ヌーランド国務次官は、オンライン会談の終了直後に開かれた米上院外交委員会で、「実際のところ、プーチン大統領は自らの遺産的プロジェクトとして、ソ連を再建しようとしている」と述べ、ロシアはウクライナを自らの影響圏だとみなしていると指摘した。
こうした発言は今始まったものではない。経済紙フィナンシャル・タイムズが伝えるところによれば、ヒラリー・クリントン元国務長官は2012年に、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相に対し、「米国は、ソ連再建に向けた動きを確認している。もちろん、名称はソ連ではなく、関税同盟、ユーラシア同盟などといったものになるだろうが、我々はその目的が何なのかを知っており、このような動きを減速または予防するため、効果的な方法を講じる努力をしている」と述べている。
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つまり、ウクライナ問題に対する米国のアプローチの核となっているのは、旧ソ連圏の再統合とソ連の実際的な敵国の復興を許さないという姿勢である。
ソ連邦崩壊後、数年にわたって、この問題はどちらかといえば幻肢痛のようなものであった。ソ連の復活させることは、ロシア帝国を復活させるのと同様、不可能である。なぜなら、当時のようなイデオロギーもなければ、それを支える政治システムもなければ、それを統治する人もいないからである。
しかし、現在、米国と中国の対立を背景に、米国は、ソ連復活の脅威を口実に、中国にとって唯一の同盟国であるロシアを抑制しているのである。
12月8日にバイデン大統領は、記者団に対し、12月11日までに、NATOの拡大に関するロシアの将来的な懸念について、東方における緊張を緩和するために何らかの策を講じることができるのか話し合うため、NATOの主要な4カ国を含めたロシアとの会談を開くことを期待していると述べた。加えて大統領は、米国もNATOも、ウクライナ防衛のために自国の軍を派遣するつもりはないと言明した。
しかしプーチン大統領は緊張した論調を保っている。12月8日、大統領は記者会見を開いた中で、NATOがロシア国境に迫っている問題についてコメントし、そこ(ウクライナ国境)で起こっていることを何もせず傍観するのは、罪であると指摘した。
ロシア政府は安全の確約を求めているが、これはロシア国境におけるNATOの行動に対する拒否権のようなものであり、これが実現する公算は今のところ少ない。
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