検察側は「メモリアル」が「大祖国戦争の記憶を侮辱し、ソ連をテロ国家とする誤ったイメージ」を作ろうとしていると強調。
一方の弁護側は、解散命令の取り消しを求めて上訴するとしている。
「メモリアル」の活動
「メモリアル」は歴史啓蒙グループを基盤に1987年に発足。過去、同団体に加盟していた有名人にはソ連の物理学者で水素爆弾発明者のアンドレイ・サハロフ博士、文芸学者のドミートリィ・リハチョフ博士、ボリス・エリツィン元大統領、詩人のエフゲニー・エフトゥシェンコ、作詞作曲家のブラト・オクジャワなどがいる。
「メモリアル」によると、旧ソ連内で粛清されたのは約1100万から1150万人。同団体所有のデータベースには射殺された人物のリスト、スターリンの指示で最高刑を命じられた人物リスト、グラーグ(強制労働収容所・矯正収容所管理部門)囚人による1000を超える回顧録、NKVD(内務人民委員部)に関する情報などが収められている。
「メモリアル」でソ連弾圧の調査を連想する人は多いが、同団体はすでに30年以上、重要な人権活動にも携わっている。その内容は人質救出や旧ソ連領内の軍事行動犠牲者の支援、難民支援などに及ぶ。
西側諸国の反応
世界の政治家は今回の最高裁判所の決定を批判し、「メモリアル」解散命令を見直すよう求めている。ドイツ外務省は、同裁判所の決定は「理解を超えており、基本的公民権保護における国際的な義務と矛盾する」と発表した。
欧州評議会のマリア・ペイチノヴィチ=ブーリチ事務局長は、今回の決定について「ロシア市民社会にとって壊滅的なニュース」とコメントした。
ジョン・サリバン駐ロ米国大使は、ロシア当局は言論の自由を抑圧し「歴史を消そうとしている」と語った。
フランス外務省は、今回の拳はロシア国民にとって損失であり、また学術文化界にとっても損失だとの考えを示した。