我々に残されているのは、集団ワクチンが有効性を発揮し、世界全体が、ロックダウンや制限措置、オンラインのみの交流などのないコロナ前の生活に戻れるよう望むことだけである。さて、そんな2022年、世界ではどのような重要なイベントが予定されているのだろうか。
2022年、露米による安全保障会議の第一ラウンドがスタートする。2021年12月17日、ロシア外務省は、安全保障に関する米国との協定およびNATO(北大西洋条約機構)との合意案を発表した。とりわけ、ロシアは米国が地上配備型の中距離・短距離ミサイルを自国領外に配備しないこと、またNATOの東方拡大をやめることなどを提案している。この露米の安保会議がどのような結果になるのか予想するのは困難だが、両者による対話が始まることこそが重要なことだと言えるだろう。
2022年最大のスポーツイベントといえば、2月4日から20日にかけて中国の首都で開催される第24回冬季五輪である。この北京五輪は、中国が新疆ウイグル自治区でイスラム教徒の人権を侵害しているとして、複数の国がボイコットを表明したことから、開催前から大きく注目されている。また複数の国の首脳らも、別の理由により、中国入りできない状況となっている。アフリカ南部で見つかった新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」はすでに世界89カ国に広がっており、優位的なものになりつつある。とはいえ、幸い、出場選手たちはこの影響を受けることなく、大会に参加できることになっている。ただし外国からの観客は、東京での夏季五輪同様、入場できないことが決まっており、会場で試合を観戦できるのは、中国大陸に住む市民だけとなっている。
2022年後半、中国では、第20回共産党大会が開かれる。5年に1度開かれるこの秋の大会では、おそらく習近平国家主席の3期目の続投が決まると見られる。2018年3月に、中国では、国家主席の任期が法的に撤廃された。これまで、任期の制限は、習近平国家主席が永久的に国の指導者であるのを妨げる唯一の障壁となっていた。国際問題の専門家らは、全国代表大会の結果は、中国の未来に影響を及ぼすものであり、また国の今後の発展の方向を示すものとなるだろうと見ている。
一方、フランスでは、4月に大統領選挙が行われる。これまでに異なる政党から13人が立候補を表明している。現職のエマニュエル・マクロン大統領も出馬する可能性はある。フランスの憲法では、大統領の任期は連続して2期までと定められているが、マクロン大統領は2017年5月に選出され、1期しか在任しておらず、法的には出馬は可能となっている。ちなみに、マクロン大統領の前任者であるニコラ・サルコジ前大統領も、フランソワ・オランド元大統領も、再選はされていない。
米国ではバイデン大統領が誕生して約1年が経つが、2022年11月には中間選挙(4年に1度のアメリカ上下両院議員選挙)が行われる。主な争いは、内政や外交におけるきわめて重要な問題についてまったく正反対の立場を取る共和党と民主党の間で繰り広げられることになる。
また2022年、米国は月探査「アルテミス計画」の第一段階として、アルテミス1号を打ち上げる計画。今のところ無人ではあるものの、1972年以来の有人月着陸の第一歩となる。
2022年、ドイツは脱原子力を完了する計画である。ドイツではこれまで10年かけて原子力発電所を少しずつ停止し、原子力の利用を60%削減した。ドイツがこうした決定を下したのは2011年で、東日本大震災による津波の被害を受けた福島第一原発事故が大きなきっかけとなった。
日本では、2022年、成年年齢が18歳に引き下げられる。これにより、若者が親の承諾や委任状なしにローンを組んだり、クレジットカードを作成することができるようになる。一方で、喫煙、飲酒、競馬などの公営競技に関する年齢制限は20歳のままとなる。日本では、2016年に選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられており、政府は、こうした動きにより若者の政治参加を推し進めることができると期待している。
一方、2022年、日本では1,334社の日本企業が創立100年、8社が200年、2社が300年を迎える。そして1622年に開業した大阪の樋屋製薬は創立400周年を祝う。
もう一つ2022年の大きなスポーツイベントとして注目されているのが、カタールで開かれるサッカーのワールドカップ。世界32カ国の代表チームが集う。カタールは非常に暑い国であることから、2022年のW杯は、11月21日から12月18日とサッカーの競技大会としては珍しい時期に開かれる。中東に位置する、絶対君主制を維持するイスラム教徒の国でサッカーのワールドカップが開かれるのは今回が初めてとなっている。