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ユリヤ・リプニツカヤはどこに消えたのか?最年少のオリンピック選手のストーリー

世界がユリヤ・リプニツカヤというフィギュアスケート選手を知ったのは今から8年前。エカテリンブルク出身の1人の女の子が最年少のオリンピック選手となったのである。リプニツカヤは15歳のとき、ソチ五輪の団体戦で金メダルを獲得、女子シングルでは5位に入賞した。しかし、リプニツカヤは、負けん気の強さと、驚異的な柔軟性を持ったビールマンスピン、そして鳥肌の立つような「シンドラーのリスト」の音楽に乗せたフリープログラムで多くの人々の記憶に残っている。そんなユリヤ・リプニツカヤは今どこでどうしているのだろうか。
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ソチ五輪で大きな成功を収めた後、リプニツカヤの輝かしい演技は影を潜めた。演技では転倒することが多くなり、エテリ・トゥトベリーゼコーチとの関係も悪化し、また体重も増加した。2015年には、リレハンメルオリンピックで金メダルに輝いたアレクセイ・ウルマノフに師事するようになり、ソチに移り住んだ。
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しかし、ウルマノフコーチの下でも奇跡は起こらなかった。ウルマノフコーチに移った後の最初のシーズンはまったく良い結果は出せず、2シーズン目はスタート直後に終了、そして2017年秋には引退を表明した。まもなくして、リプニツカヤは健康上の問題を抱えていたことが明らかになった。そしてヨーロッパで3ヶ月にわたって、摂食障害の治療を受けた。リプニツカヤは女性としての成熟とともに体重が増加するようになり、それが原因でオリンピックシーズンの時のように軽いジャンプを跳ぶことができなくなっていた。そしてこれが鬱の原因となり、摂食障害を引き起こし、拒食症となったのである。
リプニツカヤはこう語っている。

「引退するという決断をするのは、信じられないくらいつらいものでした。本当に毎日、朝起きてから夜寝るまで、これからどうなるのかとそのことで頭がいっぱいでした。入院中は、病院にいる素晴らしい心理士の方々とたくさん話をさせていただき、たとえば、健康など、人生における優先事項というものを決めていくことができました。また多くの問題について、じっくり深く考えることになりました。というのも、わたしは元気になって、またフィギュアスケートの世界に戻れると信じていたからです。わたしも、そして母やコーチ、周りの皆もそう信じていました」。

引退後、リプニツカヤはコメンテーターや解説者として大会に招かれるようになった。またその後、彼女は、もう1人のオリンピックチャンピオンであるエレーナ・イリイヌィフとともにフィギュアスケートのアカデミーを設立したが、結果的にこのプロジェクトは中止された。
2020年には、ヴラド・タラセンコの子どもを妊娠していることが報じられた。そのとき生まれた娘のカタリーナは、現在1歳半だという。まもなくして、リプニツカヤはまたスケートリンクに姿を見せるようになった。2019年にはエヴゲーニー・プルシェンコのアイスショー「シンデレラ」にも出演している。
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「プルシェンコ・エンジェル」と協力するようになるだろうというのは時間の問題だとされていた。2014年のソチ五輪のときから、リプニツカヤとプルシェンコは良好な関係を築いてきたからである。現在、リプニツカヤは夫とともに、プルシェンコの主宰するアカデミーで指導を行なっている。
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