プーチン大統領は、ロシア国民向けのテレビ演説で「現在の状況は、我々に決定的かつ迅速な行動をとることを要している。ドンバス地域の2つの共和国は、ロシアに支援を求めた。これを受けて、国連憲章の第51条第7章に基づき、連邦院の承認を得て、連邦議会で批准されたドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国との友好および相互支援の条約に従い、特別な軍事作戦を実施することを決定した」と発表した。
プーチン大統領の演説主旨は以下の通り:
ドンバスの人民共和国がロシアに助けを求めてきた
ロシアは、ウクライナに核兵器が出現することを許容できない
ロシアはNATO軍によるウクライナ吸収の脅威を目にしている
ロシアはウクライナ領土を占領するつもりはない
ロシアはウクライナの非軍事化を目指しており、プーチン大統領は自身の行動を「ウクライナを人質にしている人々から」の保護としている
ロシアは今後の流血の責任は「ウクライナの現統治体制」にあるとしている
プーチン大統領はウクライナ軍関係者に、武器を片付けて家に帰るよう呼びかけた。ウクライナ軍関係者が忠誠を誓ったのは「国民であり、軍事政権ではない」からだ
「我々はソ連崩壊後に新しく誕生したすべての国に敬意をもって接している。その一例がカザフスタンへのロシアによる支援だ」
ロシアはウクライナ領から発する恒常的な脅威とともに存在することはできない
「私たちにもあなたたちにも、今日生かすこの機会を除き、人々を守る機会は残されていない」
「我々は出来事のいかなる展開にも用意ができている」
プーチン大統領はロシア国民の支持を信じ、議会の支持を期待している
「自国に忠実なロシアの兵士および将校は、自身の義務を果たすと信じている」
「第三国が介入を試みた場合、ロシアの報復は即時行われる」
これより前、ロシアはドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の主権を正式に認めた。これについてプーチン大統領は2月21日の国民への演説の中で宣言した。
過去を振り返る
演説を始めるにあたり、プーチン大統領はロシア国民だけでなく、国外の同胞にも語りかけていることを強調した。演説の冒頭にはウクライナ形成の歴史の概要を紹介した。
大統領によると、ソ連創設期において共和国には、またソ連に属していない土地やロシア人を含む非常に「寛大な贈り物」がなされたという。ボリシェヴィキは政権を保持するため、国家主義者らのあらゆる「願い事リスト」を叶えた。ソ連建国時におけるレーニンの路線は間違いであった。ボリシェヴィキの政策により、誕生したのが現代のウクライナである。
大統領は、ソ連崩壊後にロシアがソ連の国家債務を完全に引き受け、2017年までに完済したことを強調した。その他、ロシアは他国を支援し始め、その中には物資支援を求めてきたウクライナも入っている。専門家の評価によれば、1991年から2013年までにロシアによるウクライナの利得はおよそ2500億ドルに上る。
ウクライナに対する主張
それにもかかわらず、ウクライナはソ連の資産を主張し続け、パートナーシップを依存関係に変えていった。極端なナショナリズムは急速にアンチロシアの形を得ることになる。ロシアに対して領土の主張まで現れるようになった。
プーチン大統領によると、ウクライナにおける持続可能な国家は結果的に形成されていない。過激派とナショナリストは2014年、腐敗に対する人々の正当な怒りを鎮めた。汚職はある種の独特な性質を帯び、システム全体、つまり権力のすべての枝葉を腐食させていた。
過激派は勝利後、反体制派に対する本格的なテロを実施した。過激派の要求は年々増幅していった。彼らにとっては権力の意志を押し付け、国民の真の関心を国民主義という土壌での操作に置き換えることは難しくなかった。
2014年、過激派はマイダンをクーデターにまで発展させた。しかしクーデターによりウクライナが民主主義と富に近づくことはなかった。
過激派とナショナリストは国を内戦の深淵に追いやり、同時に、国の経済を袋小路に追いやった。物価は上昇し、特に公共料金が値上がり。ソ連だけでなく、ロシア帝国の時代に受け取った持参金は使い果たしてしまった。かつては誇りであった、機械製作、造船、航空機製造、ミサイル製造などの産業は機能していない。この悲しいリストはまだ続けることができる。
プーチン大統領によると、国民の15%は国外に、技能職ではない辛い労働に就くために出て行ってしまった。その理由は、非ロシア化と強制的同化の路線が継続していることにある。先住民族法があり、自身をロシア人と考える人々に余所者だと自覚させている。
ロシアとNATO
ウクライナには大量破壊兵器が出現する可能性がある。ウクライナはソ連の核技術も、その運搬手段も有している。欧米パートナーと条約を署名すれば、ウクライナ軍司令部はNATO本部から直接動くことができる。
NATO基地を「任務」と名称変更して、ウクライナは簡単に、憲法に明記された自国領における外国軍基地配備禁止を回避することができた、と大統領は強調する。外国軍が参加したウクライナでの演習は当地域での迅速な軍増強と最短時間での部隊展開をカバーするものだ。