美しいものは心を落ち着ける
「あまりにも突然に、社会全体の雰囲気や、気持ちが激しく入れ替わっていくのを感じました。強く押しつぶされているような、とても動揺した、悲しい気持ちです。そしてこのような条件下で、展覧会を開会することが果たして正しいのか、疑問がわいてきました。結局は、予定どおり行うことを決めました。この展覧会をすることで、来場者の方の心の安寧、少しでも癒しを感じてもらえる手助けができるだろうと思いました。生活は今も続いているし、これからも続きます。私たちが、自分たちの愛している活動を行える、その可能性があるうちは、やらなければならないと思いました。」
「もちろん、SNSにはたくさんのヘイト・コメントがあふれていますし、誰かが何かポジティブな内容、またはニュートラルな内容の投稿をしたら、投稿した人のところには「お前は無関心だ」と、両サイド(ロシアの主張を正しいとする人とウクライナの主張が正しいとする人)から批判が集まります。まさに、中立を保ちたいと意識している人のもとに、批判の矢が飛んでくるのです。なので、この展覧会に関する投稿をすれば、もちろんそのような声が出てくるでしょう。でも私はその声を受け止める覚悟ができています。私にとっては、今日ここで、来場者の皆さんに会い、直接顔を合わせて、互いを支え合うことがとても大事でした。」
一枚一枚の着物が心を持っている
「日本文化と着物は、私の人生を助けてくれました。6年以上前になりますが、夫をガンで亡くしたんです。彼はとても若くて…亡くなる2年間は生死のふちをさ迷っていました。辛かったとき、着物と日本文化は、文字通り私の心を救ってくれました。自分が壊れてバラバラになってしまいそうなとき、魂をこめるものがあったのはすばらしいことです。あのとき着物がなかったら、私はどうなっていたかわかりません。」