ワシントン・ポスト紙によれば、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「厳しい選択」を迫られており、ウクライナ政府はロシア側の提示する要求のうち、何が受け入れ可能であり、どのような譲歩ができるのか決めかねているという。さらに、ウクライナ政府がロシアとの間で協議している和平合意の詳細については、西側の首脳にとっては依然、謎のままとなっていると同紙は強調している。
欧米諸国の外交官らは、ロシアとの和平合意締結に向けたゼレンスキー大統領の不明瞭なシグナルは、「協議の行方」に対する懸念を強めるものだと指摘している。また、協議の内容に詳しい政府高官は「ゼレンスキー大統領はポーランド、チェコ、スロベニアの首相らとの協議の中で、交渉による解決に特に大きな関心を示さず、ウクライナはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が要求を変えない限り、戦闘を続けると述べた」と明らかにしている。
協議の進展について、ミハイル・ポドリャク大統領顧問がゼレンスキー大統領の立場と異なる発言をしていることについて、ある米政府高官はワシントン・ポスト紙に対し、これはウクライナ政府が、市民が停戦のために何を犠牲にしようとしているのか明確に理解していないことを意味していると指摘した。また別の高官は、米国はウクライナの立場に関する矛盾した情報に「頭を抱えている」と述べた。
一方、秘密裏に行われる協議は紛争を終結させる可能性はあるが、欧州の安全保障に大きな影響を及ぼす可能性がある。西側政府高官は、ロシアが軍事力を用いてウクライナでの政変を実現させた場合、ロシアは、別の場所でもこうした戦術を用いる可能性があるとの懸念を示している。
停戦協議でロシアの代表団を率いるウラジーミル・メディンスキー大統領補佐官は19日、ウクライナの中立化とNATO非加盟が、ロシアとウクライナの立場を最大限に近づけることになると述べ、ロシアとウクライナはウクライナの非武装化に関する合意に向け、5合目に到達したとしていた。
一方、非ナチ化交渉についてメディンスキー氏は、ウクライナの代表団は、ウクライナにはナチス的集団は存在せず、現代のウクライナで議題となるものではないと述べた。さらにメディンスキー氏は、ドンバスの住民らは自分たちが暮らす領土の管轄権については、独自に解決しなければならないと主張した。
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