取材に応じた専門家によると、食糧危機が懸念される事態は、ウクライナでロシアが特殊軍事作戦を開始し、それにより、ロシアに制裁が課されたことに起因するという。同紙によれば、世界はロシアとウクライナの小麦供給に依存しているという。両国は世界の穀物生産量の15%を担っており、世界の穀物輸出量の45%を占めている。また、専門家は、ロシアとウクライナは窒素とカリウムの2大輸出国でもあり、すでに肥料不足も発生していると指摘する。さらに、エネルギー供給分野でのロシアへの制裁から、輸送や燃料、電力の価格も高騰し、食糧危機がさらに深刻化すると同紙は強調する。
ル・フィガロ紙は、豊かな国では食料が値上がりしても購入が可能だが、貧しい国では社会の安定は食料の価格次第だと指摘する。パンが欠かせない国では、小麦粉の値段が上がると食料不足から暴動が発生するおそれがある。
専門家によると、パン不足に苦しむ国のトップはエジプトであり、同国は年間1200万トンの穀物を輸入している。また、アルジェリアやチュニジア、モロッコ、リビア、レバノン、イラクも同様に事態は深刻だとされる。
特に同紙は、近い将来、食糧不足から暴動が発生するおそれがあると強調する。4月2日からイスラム圏ではラマダン(断食月)が始まり、その期間中は食事が特別な意味を持つことになる。パンデミックの影響も忘れてはならない。パンデミックから人道支援を必要とする人の数は40%増加している。
ル・フィガロ紙は、専門家はアフリカや中東では人々が飢餓から亡くなる可能性があると予想しており、アラブ諸国での変革だけでなく、1789年のフランス革命も原因は食糧不足であったと指摘する。通信社「スプートニク」は以前、EUにおける深刻な価格高騰について報じている。EUでは、2022年2月に年間のインフレ率が5.9%という記録的数値に達している。