「エネルギー分野に関してはロシアへの依存度が非常に高い国もあり、これまでは慎重な意見が強かったと思います。この分野でどこまで制裁が強化されるのかが、大きな鍵になります。ロシア産石炭への依存は重要な問題で、禁輸の話が出てきたからといっても、そんなに一気にまとまるのか、簡単ではないだろうと思いましたがが、様々な立場の相違を調整し、EUとして石炭輸入の禁止を取りまとめました。今後はロシア産石炭の代替供給源確保が課題になると思います。」
「ロシアからのルーブル支払い供給は、ヨーロッパはこれまで契約違反であるという立場で反対してきたわけですが、ヨーロッパにとってロシア産ガスはきわめて重要なエネルギー。もう本当に供給されないかもしれない、という段階になってくると、自国経済にかなりの悪影響を及ぼす可能性があります。それを覚悟しないのなら、ロシアの要求を跳ね除けることが難しいということになりえます。EUの中でも、各国の立場の違いが大きい。各国が、連帯して取り組む気持ちはありつつも、それをどうやって実現するのか、今後も難しい問題です。」
「これまで日本は対露制裁で欧米と足並みを揃えつつ、エネルギー分野については国の事情を勘案して個別で判断してきました。しかしここに来て、ヨーロッパが、相当大きな悪影響を覚悟してでも制裁をやるんだ、となった場合は、『日本も同じ対応を取ってほしい』と要望されるでしょう。制裁には、ロシアによる、力による現状変更を許してはいけない、というスタンスで日本も協力しているわけですけれど、ウクライナをめぐる直接の地政学的な対立構造、エネルギーの輸出入、どちらの問題もヨーロッパが最も深刻な危機に瀕しているわけですから、ヨーロッパで今後どんな決定が下るのかを、日本としては当然、注視していくことになります。」