例えば、最近、中国の研究者が6Gリアルタイム無線伝送実験を行ったと伝えた。1テラバイトのデータを1km伝送するのにかかった時間は1秒で、これは最新の5Gの20倍のスピードである。中国の研究者によると、「ボルテックス・ミリメーター波」とも呼ばれる高周波を使用したことが成功の要因であるという。この電波はカオス的性質を持つため、これまで無線通信には使用されてこなかった。 この技術は、無線データ伝送の「新次元」だと言われている。
日本のNTT DOCOMOも6Gに取り組んでおり、2030年にネットワークサービスを開始する予定だ。日本の研究者によると、増え続けるデータ量に対応するため、そして、環境モニタリングなど非居住エリアもカバーするために6Gの開発が必要だという。NTTが注目するのは通信インフラだけではない。6G時代のHuman Extension Platformに向けた新しい技術の開発にも着手している。この技能を伝達する技術は教育や医療にも応用でき、将来的には、ネットワークが人間の神経伝達のように機能するレベルに達するだろう。
6G時代は私たちにどんな未来をもたらすのか。今あらゆるところで導入されている5Gと何が根本的に違うのか。サンクトペテルブルク工科大学応用物理学・宇宙技術高等学院のセルゲイ・マカロフ教授は次のように考えている。
「5Gも6Gも、データ伝送の遅れが非常に少ない。データの遅れは4Gでは約50ミリ秒です。それが5Gでは5ミリ秒、約10分の1になります。6Gの遅れは1ミリ秒と言われています。これにより、高速化だけでなく、大容量のデータ伝送が可能になります。
6Gの技術的特性の需要が大きいのは、人間と高性能アルゴリズムの相互作用をリアルタイムで解決する様々な技術の実装においてです。それは、自動運転、ドローン、高精度の外科手術、超高精度測位に関連するシステムなどです。また、ホログラフィック通信、触覚インターネット、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、複合現実(MR)などもそうです。同時に、この新世代通信は地球全体をインターネットがカバーするための一歩となります。宇宙空間を含め、地球上の最もアクセスしにくい地域もカバーするのです。」
マカロフ教授によると、6Gは通信技術の革命になるという。これは通信速度の問題ではなく、新しい物理的な次元が導入されることを意味し、ほぼ無限の可能性を持つ全く新しい世界が生まれる可能性があるという。