言論の自由のためか? イーロン・マスク氏がツイッターを買収

4月25日、イーロン・マスク氏が米ツイッター社を買収した。買収総額は440億ドル(約5.6兆円)である。マスク氏はツイッターについて、「世界における言論の自由のためのプラットフォームとして大きな潜在力を持っているとの確信を示している」とし、企業のメンバー、また現在4億人にのぼるユーザーたちとともに、「新たな可能性の鍵を開けたい」と述べている。これを機に、新たな言論の自由の時代が始まるのだろうか。
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「世紀の買収」

ツイッターが誕生してからこれまでの16年間に、企業の買収を申し出た者は少なくない。そして、4月初頭にこれに加わったのが、宇宙開発企業スペースXの創設者でCEO、電気自動車企業テスラの創設者でCEOのイーロン・マスク氏である。マスク氏が30億ドルでツイッター社の株式9.2%を取得し、筆頭株主となったことは、米証券取引委員会(SEC)のサイトで明らかにされた。この後、マスク氏は取締役に指名され、任期は2024年の年次株主総会までの2年間とされた。さらにマスク氏がツイッターの取締役になる条件として、任期の2年間および退任後90日はツイッター株を最大14.9%までしか取得できないことになっていた。
しかし、マスク氏はこれを不服とし、その後、取締役を辞任した。
今回、マスク氏は、ツイッター社の100%株式の買収資金に、自らの資産を投じた上で、貸付金を充てた。ツイッター社指導部は、マスク氏の買収を阻止しようとしたが、最終的にツイッターのブレット・テイラー取締役会議長は、提案を全面的かつ詳細に分析した結果、マスク氏による買収が「ツイッターの株主にとって、前へ進むための最善の道だ」との結論に達したことを明らかにした。
ちなみに、ツイッターの取締役会が全会一致で承認したこの取引は、株主承認、適応される規制当局の承認の取得を条件に、今年中にも完了する見込みとなっている。

マスク氏はなぜツイッターを買収したのか?

マスク氏自身、SNS(交流サイト)ツイッターの買収の目的について、商業的な利益を追求したものでも、利益をもたらす投資先を求めたものでもないとした上で、「ツイッターが、全世界において最大限に信頼される言論の自由のプラットフォームになり、すべての人に自由に意見を言う権利を与えるものになる可能性があると信じて投資した」と述べている。この取引が完了すれば、ツイッター社は非上場企業となり、マスク氏はツイッターの唯一の所有者となる。
ロシア企業のブランド・アナリティクス社マーケティング部のワシーリー・チョールヌィ部長は、「ユーザーはこの買収に満足するだろう」と述べ、次のように語っている。
「マスク氏は何より、ツイッターをビジネスプロジェクトとは捉えていません。こうした意味において、彼が現在進めているビジネスプロジェクトに対する悪影響はないと考えます。あるとすれば、ある一定の時間をツイッターに費やすようになることくらいでしょう。とはいえ、彼がテスラやスペースXを見捨てることはもちろんありません。基本的に、彼はメディアや言論の自由、自己表現、検閲といった問題に無関心ではないのです。というのも、彼自身、これまで何度も検閲を受けてきたからです。また、ツイッターは投資先として、利益があるというほど、成功した企業ではありません。マスク氏は、ツイッターを変えようとしているのです。もしそれが実現されれば、わたしたちはラッキーだと思います。ツイッターはさらに活気づき、わたしたちにとってより興味深い新たなものとして生まれ変わる可能性があります。そして将来的にビジネスという観点からも興味深いプロジェクトになるかもしれません。ですから、この買収については、歓迎の気持ちしかありません。ユーザーたちも大喜びすると100%確信しています」
2006年に誕生したツイッターは重要な出来事を全世界に瞬時に知らせる手段となった。現在、ツイッターのアカウント数は13億件に上る。政治家、ニュースメーカー、流行仕掛け人、文化活動家、スポーツ関係者、ビジネスマン、ジャーナリストなどが、毎日、5億件以上のツイートを投稿している。
またイーロン・マスク氏自身のアカウントには8,200万人以上のフォロワーがいる。
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