3月から露国内での事業を停止していた日本のタイヤ大手「横浜ゴム」は、6月初旬を目途にモスクワの南東に位置するリペツク州の工場で生産を再開することが分かった。18日、同州のイーゴリ・アルタモノフ知事が自身のSNS上で横浜ゴム側との協議の結果を明らかにした。
アルタモノフ知事との協議で横浜ゴム側は、「生産停止を余儀なくされたのは原材料不足のみが理由で、政治的要素は全く関係がない」と表明したという。
一方、日本の物流大手「日本郵船」は早ければ数カ月以内にもロシアでの自動車陸運事業から撤退する方向で調整に入った。18日に日経新聞が伝えた。「日本郵船」はウクライナ情勢の悪化以降、露国内に拠点のある自動車メーカーの生産停止により需要が減少していた。
現在、日本郵船の現地子会社「NYK Auto Logistics」はわずかな台数の自動車輸送を続けているものの、制裁などの影響で今後の事業継続は困難になっている。日本郵船の陸運事業のうち、露事業が占める割合は15パーセント。現地事業の売却も検討しているという。
在露日系自動車メーカーをめぐっては、ウクライナ情勢を受け、これまでにトヨタ、日産、マツダといった大手全社が原材料調達の問題などから事業を停止。マントゥロフ露産業貿易相は5月17日、日産と今後の工場の操業などについて協議し、事業継続を交渉する考えを示している。だが、仏ルノーなど完全撤退を決めた外資系自動車メーカーもあり、日系の自動車関連企業も状況を見据えた難しい判断を迫られている。
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