インカ帝国の社会には人間を生贄として捧げる風習があったことは、ずいぶん前から知られていた。王の息子の誕生や、戦いでの勝利など、重要な出来事の際には、若い女性や子どもが神に捧げられた。
一方、これらの残酷な儀式を目撃したスペイン人植民者の書面報告には、生贄に選ばれた子どもたちは非常に落ち着き、生贄に捧げられる準備が整っているように見えたと記されており、これを学者たちは不思議に思っていた。
この疑問に対する説明を、ポーランド、米国、ペルーの国際研究チームが発見した。研究チームは、ペルーのアンパト火山に埋葬されていた約500年前に生贄に捧げられた6〜7歳のインカ人の子ども2人の髪と爪のサンプルのスペクトル分析を行った。研究チームは、これらのサンプルから、少量のコカインと南アメリカの先住民の伝統的な文化において一般的な別の2つの幻覚薬の痕跡を発見した。
この発見により、研究チームは、インカ人は生贄に選ばれた子どもたちに向精神薬を意図的に与えて落ち着かせ、儀式が行われるまでの期間(数週間の可能性がある)と儀式の最中に子どもたちを自分たちの影響下に置いていたと考えた。
先に、インカ帝国で子どもの頭蓋骨を変形させていた理由が明らかになった。
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