NHKの報道によると、円安の要因は欧米と日本の金融政策の違いにあるという。
一般的に、米国の政策金利が上昇すればより利回りが見込めるドルが買われ、円売りが進み円安となるとされる。日本の長期金利は日本銀行の金融緩和政策の一環でほぼゼロ金利、上限が原則0.25パーセントに抑えられている。一方、米国では昨年末まで1.5パーセント前後で推移していた金利を、2022年2月にウクライナ情勢を背景としたインフレ対策で2.5パーセントに引き上げ。その後も金融引き締め政策(利上げ)は続き、5月には3パーセントまで上昇した。
英国や欧州の中央銀行にも利上げの動きが広まるなか、日本銀行は低金利政策を続けており、円を売る動きが加速し、円安に歯止めがかからなくなっているという。
一方、欧米との金利差を縮めようと日銀が金利を上げれば、コロナ禍による景気減退からの持ち直しに水を差すことになりかねないという。金利の上昇は消費や投資などの経済活動の抑制を招き、緩やかな上昇傾向にある経済をストップすることにつながりかねないため、日銀としては慎重にならざるを得ないのだ。
このように、欧米との金利差を埋めるため「利上げ」すれば、これまでの「利下げ」による国内経済の活性化が失われてしまうというジレンマに陥っている。
一部の専門家は1ドル=140円まで円安が進んでも不思議ではないとする。だが、欧米が極端な金利上昇を進めると欧米経済の減速につながりかねないため、その場合は円高方向に向かう可能性があるとしている。
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