ロシア科学アカデミー日本研究センターの主任研究員オレグ・カザコフ氏によれば、内閣レベルで話し合われるすべての問題は概して賛否両論を呼ぶものだと指摘し、野党のいずれかは反対の声を上げ、軍事費の増額といったような重要な問題については社会で広く議論されるべきだと訴えるだろうと述べている。しかし、カザコフ氏はまさしくこれは良い点であり、日本において民主主義というものがどれほど発展しているかを表すものであると言明する。
「日本の政府における重要な決定は、独断的な方法ではなく、国民がそれぞれの物事について、必要なことであると納得した上で行われています。今回の場合、首相は、なぜ日本にとってNATOとのより緊密な協力を目指すことが論理的に正しいのかということについて、(社会のあらゆるレベルで)コンセンサスを得ようとしています。しかしながら、その目標を達成するまでに明らかなのは、日本がNATOと接近するには、自衛隊をNATOの基準に合致させなければならないということです」
そこで、今後、日本は少しずつ、自国の安全に対するあらゆる脅威に対する防衛上の「対抗策の多角化」の精緻化を進めていくだろうとカザコフ氏は述べている。
「日本はもはや日米安全保障条約の保障だけに頼りたくない(あるいは頼ることができない)ということでしょう。そこで、日本はこの問題に、NATOのような大規模な軍事防衛同盟を『自分の味方に』つけようと尽力しているのです。今後、NATO内では、その『行動範囲』を世界で拡大していくという一種の改革に関する問題について協議されていく可能性も除外できません。そして日本は、国防費の増額(GDP比2%)をその要求の一つとするNATOのプロセスに加わっていく準備をしなければなりません」
そしておそらく日本はこの道を進んでいく用意があるものとみられる。とはいえ、防衛費増大の決定が、日本社会で完全に支持されるとは予想しにくい。しかしそれでも、そのような方向に進んでいくだろうとカザコフ氏は見ている。
しかし、もう一つ、日本の平和憲法を変更するという与党の意向に関する重要な局面がある。この問題において、自民党は日本社会からコンセンサスを得ることはできないだろう。というのも、日本人の大部分が依然として、「日本は攻撃を行わない。脅威にさらされたときに限り、自国を防衛する」という路線を堅持しているからである。そこで、平和憲法を変えるという自民党の目標が進展していく展望はないとカザコフ氏は指摘している。