「今回発表された5本柱は、すでに進められている日本の外交政策を反映したものです。たとえば、防衛力の強化はすでに決定されている問題です。防衛費の増額は決定したことであり、現在その数字についての議論が行われている段階です。中国との軍拡競争に疲弊した米国はすでにかなり以前から、同盟国に対し、自らの地域における安全により大きな責任を負うよう求めるようになってきています。日本はこれに抵抗していましたが、地域のパワーバランスが中国に有利な形で変わり始め、日本もこの問題に関する立場を見直すようになりました。ウクライナ紛争はそのきっかけにはなりましたが、これが主な理由というわけではありません。理由は、中国が軍事力を増強していること、そして自らの利益を果敢に追求していることです。北朝鮮はそれほどの脅威ではありません。というのも、北朝鮮の軍事開発は、現在の体制を維持することを唯一の目的としているからです。その体制の存続が脅かされるような動きさえなければ、北朝鮮がどこかに攻撃を仕掛けることはありません。北朝鮮は実利的な国であり、自ら滅ぼうという国ではありません。地域における影響力を拡大する明確な意図を持ち、生活圏を拡大しようという野望を持つ中国とは違います。次に、核のない世界を目指すというのも、日本の政治家が長年にわたって述べている古くからの、そして事実上、実現不可能な目標です。国連安保理改革による国連の機能強化、これは常任理事国になるという日本の長年の夢を反映したもので、ここでもその実現には、日本を常任理事国にしたくないという中国の壁が立ちはだかっています。また、経済安全保障分野における連携の強化については、サプライチェーンにおける資源とエネルギーの依存を低減するという話ですが、これも日本が常にやってきたことです」。