テネシー大学ノックスビル校のジル・ミクキ氏が率いる研究チームは、南極大陸のテイラー氷河でみられる「血の滝」から塩水を採取した。血の滝は最初は透明な塩水だが、鉄分を多く含んでいるため赤い酸化第二鉄となり、これが氷の表面に沈着するためこのように呼ばれている。この滝の源は数千年から存在する地下貯水池であり、そこには多くの微生物が生息している。
ミクキ氏が今回、血の滝の塩水に含まれる物質の組成を調べたところ、この塩水には炭酸塩の他に鉄イオンが多く含まれている。地球上にある一部の滝でも同じような条件で酸化鉄が生成されるものの、血の滝の塩水は鉄や塩素、ナトリウムなど多くの元素を含む非晶質のナノ粒子に変化するのが特徴。同氏によると、NASAの探査車「キュリオシティ」は火星のゲール・クレーターでこの非晶質を大量に発見されており、地下貯水池は火星のこのクレーターの環境条件に最も近いという。
研究者らは、今回の研究結果を火星の内部に居住可能な部分があるかどうかを調査する際に利用したいと述べている。
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