NATO加盟国の脅威は誰なのか
ストルテンベルグ氏は、NATO首脳会議の開催前夜にNATO加盟国に対する主な脅威について明らかにした。同氏によると、加盟国にとって最も重大で直接的な安全保障上の脅威はロシアであり、戦略的安全保障の文書では中国政府がNATOにもたらす脅威について初めて言及すると指摘されている。また、NATO首脳会議では特にテロリズム、サイバー及びハイブリッドの脅威について議論する予定だという。
東方防衛線を強化
ストルテンベルグ氏は、マドリード(スペイン)で開催されるNATO首脳会議では、東部防衛線のさらなる強化に関する決定を行うと明らかにした。現地の既存部隊を大隊レベルから旅団レベルまで拡大する計画だという。大隊は原則として1000人以下、旅団は5500人以下で構成される戦力単位。同氏によると、即応部隊は30万人規模に達する可能性があるという。
防衛費の増加
同氏は、NATO加盟国は2022年、8年連続で防衛費を増加させる必要があり、東方防衛線におけるNATOの存在感を大幅に高めるには、少なからず多額の防衛費が必要になると強調した。同氏によると、2014年以降のNATOの防衛に対する投資総額は、2022年末までに3500億ドル(約47兆5000億円)に達するという。
ウクライナへの支援拡大
ストルテンベルグ氏は、NATO首脳会議でウクライナのゼレンスキー大統領が演説を行う予定だと明らかにした。同氏によると、NATOは2014年以降、ウクライナに対して軍事・財政支援や数万人のウクライナ軍人に対する訓練など実質的な支援を行っており、ドンバスでのロシア軍の特別作戦開始後は、ウクライナに軍事・財政・人道支援を追加で提供した。また、NATOはウクライナに対して、安全な通信手段、対ドローン防衛システム、燃料などの分野における実質的な供給や、包括的な支援策の強化に合意する用意があるという。
NATOのパートナーシップを拡大
マドリードでのNATO首脳会議の前夜、ストルテンベルグ氏は次のように述べた。
「オーストラリア、日本、ニュージーランド、韓国がこの会議に初めて参加することを歓迎する。また、グルジア(ジョージア)と欧州連合(EU)も参加する。我々はグルジア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モルドバ、そしてモーリタニアとチュニジアに対する新たな支援パッケージに合意する」
ストルテンベルグ氏は、マドリードでNATO首脳陣が議論する他の問題についても言及した。その中には、気候に悪影響を及ぼす排出を削減するために防衛に先進技術を導入することを目的とする10億ユーロ(約1440億円)のイノベーションファンドの創設も含まれている。また、食料安全保障の状況や、ロシアと中国がNATOの近隣諸国に及ぼす影響についても議論される予定だ。
これよりも前、スプートニクは、NATOが新戦略概念の中で中国を「体系的な挑戦」と位置づけ、中国政府とロシア政府の協力強化を強調する見込みだと報じた。
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