ウクライナでの露特別軍事作戦

元国務長官、ウクライナ危機の終結シナリオを分析

ヘンリー・キッシンジャー元国務長官はウクライナでロシアが進める特殊軍事作戦の過程で、ロシア軍がすでに占領している領土を維持すればロシア側の勝利に終わると指摘した。英誌スペクテーターの取材に応じた中でコメントした。
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キッシンジャー元国務長官は取材の中でウクライナ危機終結のシナリオとして、3つの可能性を指摘した。
第1のシナリオはロシア側が4ヶ月の間に成立させた現状(status quo)を維持。
第2のシナリオはウクライナ側が作戦開始以前の国境を回復。
第3のシナリオはクリミアを含めウクライナ側が主権を主張する全ての領土を回復。
キッシンジャー氏は取材の中で次のように発言した。
「仮にロシアが今いる場所にとどまれば、それはウクライナ領の20%、及びドンバス地域の大半を占領したことになる。そこには、主要な工業地域、農業地域、黒海沿岸の地域が含まれている。仮にロシアがとどまれば、初期の段階で被った失敗はあるものの、これはすでに勝利である。そして、北大西洋条約機構(NATO)の役割はそれ以前に考えられていたほど決定的ではなくなる」
ただし、クリミアを含め戦争以前にロシアが獲得していた地域からロシアを追放する試みはロシアとの全面的な戦争を引き起こしかねないと警告した。
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第2のシナリオはスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で最も好ましいとされていたものであり、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領による批判を呼んだものであるものの、ゼレンスキー大統領は現在、この案に賛同している模様。
「仮に自由を愛する民族がロシアによる軍事的制圧を一切許さず、戦闘が始まった地域に前線が戻れば、今回の攻撃は明らかな失敗となる。ウクライナは、戦争突入時の形態を取り戻し、軍備を拡大し、仮にNATO加盟国とはならないまでもNATOと密接に結束する」
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このような結果は、NATO同盟国によって偉大な達成になる、とキッシンジャー元国務長官は指摘した。
NATOはフィンランドとスウェーデンの加盟により勢力を強化し、バルト三国の防衛力向上に貢献するほか、ウクライナの巨大な陸軍は欧州の陸軍と密接な連携を獲得したこととなる。この場合、ロシアは米国はおろか、欧州といかに共存するかという可能性を模索する必要性に迫られることになるという。
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