AP通信によると、騒動の発端は2021年5月にさかのぼる。ホノルル市の真珠湾・米海軍基地で第二次世界大戦時から使われている石油貯蔵施設のジェット燃料を別のタンクに移動させる際に約80000リットルの燃料が誤って漏れ出た。その大部分は消火設備に流れ、半年にわたって滞留し続けることとなった。11月には溜まった燃料によってたるんだ消火設備に荷車が衝突する別の事故が起こった。対応した担当者は事故で漏れ出した燃料を除去したが、十分な設備がなく、すべての燃料を回収することができなかったという。
こうした人的ミスが重なった結果、計約19000リットル(一般的な湯船の約100杯分)の燃料が基地の貯水設備に入り込み、汚染された水が水道管を通って周辺の設備や官舎に供給されることになった。除去にあたった担当者は燃料をすべて回収できたと思いこんでいたため、上層部に報告していなかった。このため、水道への燃料の混入が明らかになったのは健康被害が現れてからだったという。
これにより6000人が「水あたり」の健康被害を訴え、基地内に住む米軍関係者やその家族ら約4000人は一時転居を余儀なくされた。燃料はホノルル市の一般水道設備には混入しなかったが、市当局は地下の帯水層を経由して汚染水が入り込む可能性があるとして、市民40万人向けの取水設備を停止する事態となった。
米軍は世界各地の基地にある48の燃料貯蔵施設の状態を確認するなどして、再発防止に努めるとしている。
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