裁判では、14年に政府の地震調査研究推進本部が発表した地震予測「長期評価」の信頼性が争点となり、東電子会社が同評価にもとづき試算した「最大15.7メートルの津波が到来する可能性がある」という報告への旧経営陣5人の認識と事故予見性が問われていた。
これまでの審理で株主側は、当時の会長と社長は試算結果の報告を受けており、残りの3人も報告を受け、防波堤などの設置の必要性を認識していたと指摘。そのうえで、旧経営陣が津波対策を先送りし、事故を招いたと主張していた。
東電側は、長期評価の信頼性を疑問視し、事故が発生するまでの対応は適正だったと反論していた。