岸田首相とファイサル外相の面会時間はおよそ15分間。
ファイサル外相は、参議院選挙の街頭演説中に銃撃で死亡した安倍元首相に哀悼の意を示したうえで「サウジアラビアは常に日本とともにあり、日本との関係を一層強化していきたい」と述べた。
これに対し岸田首相は、サルマン国王やムハンマド皇太子からの弔電も含め謝意を伝え、同国との友好関係のさらなる発展に期待を表した。
また世界の原油価格高騰を背景に、原油市場の安定化に協力を求めた。ファイサル外相も応じる意向を示した。
林外相も午前11時55分から約95分間、ファイサル外相と会談を行った。外務省公式ウェブサイトによると、林外相は国際原油市場の安定化と追加増産に向けた引き続きの協力を要請。また「日・サウジ・ビジョン2030」の下、再生可能エネルギーを含むクリーンエネルギー、気候変動分野での協力を一層推進したい旨を述べた。これに対しファイサル外相は、国際原油市場の安定化に向けた協力も含め、引き続き緊密に連携したいと応答した。
増産は産油国の減収を意味する
国際的な専門家は、先週のバイデン米大統領のサウジアラビア訪問を受けてOPECの石油生産方針が変わる可能性は低いとの見方で一致している。バイデン大統領は、中東最大の産油国サウジアラビアに対し、OPECプラス枠組みでの生産割当から脱し、増産するよう説得できなかったようだ。バイデン氏は7月14日から16日まで中東歴訪の一環としてサウジアラビアに初の公式訪問を行った。その中で世界原油市場の十分な供給についてのテーマも取り上げられた。
同国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子は7月16日にジェッダで開催された安全保障・開発に関する湾岸協力会議(GCC)サミットの開会式で、サウジアラビアは最大1300万バレル/日まで増産が可能と述べた。折しも、2027年までに同水準へ生産を引き上げる意向については、5月にアブドルアジーズ同国エネルギー相も明言している。
ロシア戦略研究センターによると、サウジ皇太子の発言は同国のポテンシャルを意味するだけでなり、具体的な行動を呼びかけるものではないという。また増産は価格競争と低価格化を招く可能性があり、サウジアラビアの収入を減らすことになる。つまり同国の国益に応えるものではない。