イランは信頼できるパートナー
会合では、テーマの1つとして、イランとの経済協力についても話し合われる。ドル建ての相互決済を完全に破棄し、各国の自国通貨での貿易を強化することが予定されており、また、南北輸送回廊の拡張についても話し合われる。
この回廊は、ロシアとイラン、インドを結んでおり、将来的には、このルートにより、ロシアはアゼルバイジャンとイランを経由してペルシャ湾とアラビア海に抜け、貨物を販売することが可能になる。
この間、ロシアとイランの間の軍事技術協力の新しい段階について多くのことが語られている。西側のメディアでは、イラン製ドローンのロシアへの提供という良からぬニュースが再三報じられている。
エルドアン大統領との交渉
ロシアはトルコと広範な経済協力を行っており、トルコ政府は、特に世界市場へのウクライナ産穀物の剰余分の輸出に協力しつつ、ウクライナ紛争の調停役を果たそうとしている。交渉の最も重要な成果としては、ウクライナから穀物を輸出するための条件が最終的に決定されたということが上げられ、つまり、プーチン大統領とエルドアン大統領が、この食糧危機問題で最終的に終止符を打つことになる。
もちろん、ロシアとトルコ、イランの首脳会談では、シリア情勢の解決や人道支援についても討議が行われる。
また、トルコによるシリアのクルド人組織への軍事作戦計画もテーマとされている。シリア政府は、シリア国境地帯へのトルコ軍の駐留を繰り返し違法と指摘し、トルコ政府に対し撤退を要求している。
シリアでのデエスカレーションのチャンス
ロシア国際問題評議会の専門家で政治学者のエレーナ・スポニーナ氏によれば、ロシア政府とイラン政府は、シリアでの軍事作戦に反対する重大な論拠をトルコ政府に提供する準備があるという。
「エルドアン大統領は、シリア北部で次の軍事作戦を実施したいと思っていることをオープンにしている。イラン政府とロシア政府は反対を表明しているので、意見の対立がないとは言えないが、イランとロシアはトルコに緊密な経済協力を提供する準備ができている。トルコでは経済状況が悪化しており、2023年の大統領選挙が迫っていることから、このことは、エルドアン大統領にとって非常に重要な提案と言える」
また、今回のテヘランでの会談は、米国のジョー・バイデン大統領のサウジアラビア訪問の直後に行われるという点で注目される。バイデン大統領は、同国の皇太子と関係修復を図り、米国のガソリン価格の引き下げのために石油の増産を説得しようとしたが、サウジ側はこれを拒否した。そのため、バイデン大統領は事実上成果のないまま帰国することとなった。