スイスのローザンヌ工科大学の研究者らはまず、18歳から30歳、50歳から65歳、65歳以上という3種類の年齢層を対象に実験を行った。被験者らはスクリーン上に表示された9桁の数字を左手の指で再現する課題を、毎日20分ずつ、5日間連続で行った。
研究者らによると、精度を落とさずに時間の経過とともにタスクのスピードが上がることを「速度と精度の比の変化」といい、学習の重要な特徴を構成している。タスクの機械的な作業を最適化し、精神面での負荷を軽減するように脳の構造は形成されるという。
研究者らはこの5日間で、タスクをこなすスピードがどれだけ上がったのかに注目した。初日は、タスクをこなす精度は年齢層によって有意な差はなかったが、2日目は若年層が高齢層より精度が著しく高かった。またこの5日間で、若年層では中高年層よりも課題の速度が有意に高く、中高年層では高齢者層よりも速くこなすことがわかった。
そこで研究者らは、被験者の高齢者層に対し、大脳皮質の運動野に経頭蓋磁気刺激を行った。この結果、高齢者は学習の最初の段階でタスクをこなす精度が飛躍的に向上し、若年層に見られるような課題遂行能力を獲得することができた。
研究者らは、運動野に電気刺激を行うことで年齢によって低下した学習能力を部分的に回復させることができると指摘している。
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