この電池の開発を行ったスイス連邦材料試験研究所のグスタフ・ニューストレン氏によると、現在、低コストでの製造が可能で、安全に使用でき、低毒性の使い捨て電池の需要が高まっている。この紙電池は、そういった条件をみたすものだという。
この電池に使用するものは紙とインク。紙の片面には正極として働くグラファイトが含まれたインクが塗られている。その裏面には負極として働く亜鉛の粉末を含むインクが塗布されている。そして紙には塩化ナトリウムが含まれており、ここに水を数滴垂らすことで電流が発生する。
実験では、紙電池を20秒以内に活性化させるのに、たった2滴の水が必要だったという。この際、電池の電圧は1.2ボルトで、電力を1時間供給した。紙が乾燥するにつれて電圧は低下していったが、さらに水を数滴加えると、0.5ボルトで約1時間電力を供給した。
研究者らによると、この紙電池は水を加えれば何度でも活性化する点が長所であり、乾燥した状態であれば、長い寿命を持つ可能性があるという。
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