西側では、米国の民主主義は、中国やロシアの権威主義的な体制よりも共感を呼んでおり、そこでは両国の体制を「血まみれ」と呼んでいる。フェリー氏は、そのような発言の不条理さは、歴史を理解している人なら誰でも明らかだが、メディアには独自の認識ルールがあり、そのような不条理さでさえ聴衆には受けがいいと主張する。
プーチン大統領の腕の中に中国を投げ込む
米国のナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問を熱狂的に支持する人々は、それによって生じる重大な結果を考えていない。まず第1に、最も都合の悪いタイミングで中国をプーチン大統領の腕の中に投げ込むこと以外、なんらかの効果を得ることはなく、第2に、民主主義国と権威主義国の間には、大量破壊兵器に関する不可逆的なアンバランスが存在するとフェリー氏は指摘する。今日、米国はもはや世界を支配していると主張することはできない。それは、彼らが広島と長崎で犯した戦争犯罪は、今日、西側世論と同様に、世界の大国の指導者にとっても、絶対に受け入れられないからだ。そのため、米国は実際にはウクライナでロシアと戦争を行っているとはいえ、それでも表向きは「無関係」を装っている。彼らは何千キロも「観客席」を確保し、さらに、巨額の利益を得ている。同氏によれば、米国はウクライナを利用して、ロシアに核兵器の使用を促しかねない直接的な紛争を回避しているという。
中国に関して言えば、少数のアフガニスタン国民を前にしても、米国の兵士らは荷物をまとめて出て行かなければならなかったが、現在ロシアの盟邦である大国に対し、米国は何ができるというのかと、フェリー氏は皮肉交じりに指摘した。
なぜペロシ氏は間違っているのか
フランスの専門家は、では、台湾が「母港に戻ったとき、米国はどうするのか」と問い、「形式的な振る舞い」以外には何もないと答えている。経済的および商業的な観点においても、コンピューターやスマートフォン、電子部品の製造に必要な希土類の金属に関してだけでも、米国の中国への依存により、制裁から中国以上に米国は苦しむことになる。そのため、ペロシ氏は、世界で最も強力な2人の独裁者を団結させ、嵐を巻き起こす前に、よく考えるべきだった。フェリー氏によれば、ペロシ氏は、米国がもはや世界の中心ではないこと、好戦さを誇るような時代は過ぎ去ったたことを理解する必要があり、そして、文化的で経済的、政治的協力を、同じ歴史を共有していない国々と理解しあうことは困難だが、それが未来への唯一の道であり、フランスのドゴール元大統領もそれを望んでいたことを理解すべきだという。
通信社「スプートニク」は以前、中国外交部がペロシ氏に対し、アフガニスタンやイラク、シリアを訪問し、そこで、これらの国に対する米国の犯罪を懺悔するよう助言したと報じている。
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