米国のハリケーン、欧州ガス市場の新たな脅威に=専門家

リアノーボスチ通信のインタビューにエネルギー開発センターの専門家は、米国の液化天然ガス (LNG) の安定供給の混乱から、米国におけるハリケーンシーズンのピークが欧州のガス市場にとって新たな脅威となる恐れがあると語った。
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エネルギー研究企業「Rystad Energy」の分析によれば、米国ではハリケーンの季節が本格的に到来し始めている。例年、ハリケーンのピークは8月中旬から11月中旬に迎える。同センターは、「米国は欧州へのLNGおよび石油製品の最大の供給国であることから、ダメージの程度によるが、市場への影響は潜在的に大きい」と指摘する。
専門家らの解説によると、昨年の「アイダ」のような大型ハリケーンが発生した場合、メキシコ湾に位置する輸出ターミナルからの液化天然ガスの輸送が中断される恐れがあるという。こうした事態から、世界市場へのLNG供給が日量約3億立方メートル(再ガス化した場合)減少する可能性がある。
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専門家らは、「また、メキシコ湾のプラットフォームにおける生産量もおそらく減少する。この数年、大型ハリケーンの影響で日量60万〜70万バレルの遅配が発生した」と推定する。
米国海洋大気庁 (NOAA) の予測では、今シーズン、 6 ~8 個のハリケーンが発生し、そのうち3 ~ 5 個が大型化するという。同センターはテレグラムでコメントを発表し、「大型ハリケーンが1つでも発生すれば、メキシコ湾からのLNG輸送は1週間から2週間中断する。LNGプラントが何らかのダメージを受けた場合、ガス市場への影響はより長期化することになる」と強調している。
ウクライナ情勢の悪化以降、ロシア産エネルギーの禁輸措置等で欧州はエネルギー危機を迎えている。直近では欧州エネルギー取引所(EEX)で、フランスの2023年の電力先物価格が過去最高を更新し、1メガワット時あたり1075ユーロ(約14万8000円)の値をつけた。また、欧州市場のベンチマークとなるドイツの先物価格も1メガワット時あたり920ユーロ(約12万7000円)となり、高値を更新している。
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