ウクライナでの露特別軍事作戦

クラスター爆弾に対人地雷「レペストク」・・・、ウクライナ軍が使用している禁止兵器

スイスのジュネーブでは8月30日から9月2日にかけて、クラスター爆弾禁止条約の批准国による会議が開かれている。ロシア軍は軍事施設のみを破壊するため、誘導爆弾しか使用していない一方で、ウクライナ軍は恒常的にドンバスの民間人を攻撃している。またウクライナ軍はこうした攻撃において、国際協定で禁止されている兵器の使用を回避しようとしていない。その中の一つがクラスター爆弾である。ウクライナが使用している、世界で禁止されている兵器について「スプートニク」が調べた。
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クラスター爆弾

クラスター爆弾は空中で破裂する容器の中に大量の子弾が内蔵されたもので、広範囲の目標に損害を与える。その威力はかなり大きい。
クラスター爆弾
2022年3月以降、ウクライナ軍はクラスター弾頭を装着したこのタイプの爆弾で定期的にドンバスを砲撃している。いくつかの事件を例に挙げると、4月8日、ウクライナ軍は短距離弾道ミサイル「トーチカU」から、ウクライナ政府の統治下にあるクラマトルスク市の駅を砲撃した。ロシア軍の犯罪として非難することを目的としたこうした挑発行為により、子どもを含む30人以上の民間人が犠牲となり、100人以上が重軽傷を負った。
ウクライナ側からはロシア領内に対してもクラスター爆弾による攻撃が行われている。7月3日、ウクライナ軍はベルゴロドに「トーチカU」による砲撃を3度にわたり行った。ミサイルはロシア軍のミサイル迎撃システムによって空中で撃墜されたが、その破片が民間人の住宅に落下し、子どもを含む5人が死亡した。
一方、8月7日にはウクライナの部隊がザポリージャ原発に対し、220ミリ口径の自走式多連装ロケット砲「ウラガン」を用いた攻撃を行った。
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ウクライナ軍は、ドネツク人民共和国領内に、対人高爆発性地雷「レペストク(花びら)」を遠距離から投下するため、「ウラガン」によるクラスター爆弾型のロケット弾も用いている。これもウクライナが使用している禁止兵器の一例である。

対人地雷「レペストク(花びら)」

ドネツク人民共和国政府は、この「レペストク」の爆発によって、毎日、民間人の間で負傷者が出ていることを確認している。
対人地雷「レペストク(花びら)」
「レペストク」は、およそ40グラムの高い威力を持つ爆薬で、地雷を踏んだ人間に襲い掛かり、足の下部分(多くは踵)を失わせるのである。
対人地雷「レペストク(花びら)」
現時点で、この地雷による被害を受けた民間人は、子ども2人を含む50人以上となっている。負傷者の1人は病院に運ばれたが、死亡した。

ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、8月24日、この対人地雷の模型を参考に、これがいかに気付きにくいものであるかを説明しつつ、「『レペストク』はウクライナ政府のサディスティックで野蛮な性格を証明するものであり、ウクライナの東部および南東部の人々に対する実際の態度を示す象徴的なものである」と強調した。

また大使は、このような非人道的な戦闘手段を用いるウクライナ政府を非難するよう呼びかけた。
8月に、米国、英国、フランス、ラトビアの大使館周辺では、ウクライナの民族主義者らがドンバスで行っている犯罪に対する責任を取るよう西側の外交官たちに訴えるための抗議行動が行われた。参加者らは、大使館周辺で、こうした地雷のイラストを描いたビラをあちこちに貼りつけた。
対人地雷の使用、貯蔵、生産および以上の禁止ならびに廃棄に関する条約の条文が1997年9月18日に作成され、賛同する多くの国々が批准し、その義務を負っている。
ウクライナは2005年にこの協定を批准したが、この国際的な協定で定められた義務を遂行していない。
ドネツク人民共和国政府の発表によれば、すでに3月に「アゾフ大隊」の戦闘員たちは、マリウポリのメインストリートの住宅に、およそ1万個の「レペストク」を無秩序に設置した。この地雷を使った共和国に対するクラスター爆弾砲撃は4月から始まり、現在もなお続いている。

どうしても撤去が不可能な仏製の地雷

「レペストク」で無害化することができないフランス製の地雷も、ウクライナ軍が使用している唯一の禁止兵器ではない。8月14日、ロシア軍兵士は、アルチョモフスク南部の拠点で、ウクライナの第72独立機械化旅団の部隊が陣地に残していった50個以上の対戦車地雷HPD F2を発見した。
対戦車地雷HPD F2
ロシア国防省によれば、この地雷は一旦設置されると、「撤去したり、無害化したりできない」という。この地雷の使用は、1980年10月にニューヨークで採択された「過度に障害を与え、または無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止または制限に関する条約の一部である「議定書II」(あるタイプの地雷、ブービートラップ、その他の類似の装置の使用を制限する)の規定を明らかに違反するものである。

白リン弾

特別軍事作戦の開始後、ロシア国防省は、繰り返し、ウクライナ軍がリンを充填した弾頭を使用していると訴えてきた。ウクライナ軍は2月にロシア軍に対し、キエフ近郊のゴストメリ飛行場周辺で白リン弾を大量に使用した。3月19日には、セヴェルヌィ・ドネツ川に架かる橋への攻撃にも、禁止兵器であるリンを用いた砲弾が使用された。
白リン弾

ホローポイント弾(ダムダム弾)

もう一つ、ウクライナ軍が用いている禁止兵器がホローポイント弾である。通常の弾丸と異なり、人体に命中した際に、急膨張、爆発するのがこの爆弾の特徴である。
ホローポイント弾
米企業ホーナディ・マニュファクチューリング・カンパニー製のこのホローポイント弾が装填された狙撃ライフルが、4月にマリウポリのウクライナ軍の拠点で発見されている。
3月には、ドネツク人民共和国の兵士たちも、マリインカで口径7.62ミリの狙撃ライフルUkrop UAR-10を発見している。これらのライフルは、ホローポイント弾の銃撃を目的としたものである。
なお、ホローポイント弾(ダムダム弾)は今から130年も前の1899年にハーグ条約にて禁止されている。

兵士に対する拷問

ウクライナ軍兵士は、捕虜の待遇に関するジュネーブ条約の規定にも常に違反している。3月末、民族主義者らはハリコフ州で捕虜となったロシア兵に制裁を加える様子を映した画像を公開した。また4月初旬にも、インターネット上には、キエフ州で、ロシア兵が処刑されるところを撮影した動画も投稿された。動画では、兵士の1人が何発も銃撃されて殺害されているところが映し出されている。もう1人、殺害された兵士は、両手を後ろで縛られており、この兵士が投降し、すでにウクライナに対する脅威ではなかったことを物語っている。
ウクライナでの露特別軍事作戦
ウクライナ側で戦う外国人傭兵、ウクライナ軍によるロシア兵捕虜の大量処刑を確認
8月3日、ロシア国防省のアレクサンドル・フォミン副大臣は、外国の駐在武官を集めたブリーフィング会見で、ウクライナの捕虜になった後に帰還したロシア兵たちに対する聞き取り調査の結果を発表した。調査では、81%の兵士が殴られるなどの暴力を受けたと答えた。また半数以上がプロパガンダ的な動画の撮影に強制的に参加させられたといい、46%が必要な医療支援を受けられず、79%は家族と連絡を取ることができなかったと回答した。

「化学テロ」

8月20日、ロシア政府は、意図的に化学兵器を使用したとしてウクライナを非難した。伝えられているところによれば、ウクライナ軍は、ロシア兵に対し、人工的に作られた有機毒であるB型ボツリヌス毒素を使用した。
ウクライナでの露特別軍事作戦
米国がウクライナで制御可能なエピデミックを研究=露国防省
ザポリージャ州ワシリエフカ村で任務を遂行していた兵士らが、7月31日、重度の中毒症状により、野戦病院に運び込まれ、検査を行ったところ、体内からこのボツリヌス毒素が検出されている。
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