この先住民はいわゆる文明と接触を持たず、伝統的な生活形態を守り、他者との交わりを攻撃的に拒否してきた人種で、ブラジルの農園経営者たちによってほぼ根絶されたが、最後に残された1人が26年もの間、ブラジル西部のアマゾンの奥地でひっそり暮らし続けていた。この男性は自分の住処の周りに狩りのため、また、悪天候の際に隠れるためにたくさんの数の穴を掘っていたことから、地元の農園経営者たちに「穴の人間」と呼ばれていた。遺体が発見されたのは8月23日。発見した「国立インディオ基金」の職員らの話をCNNが引用して報じたところによれば、男性は住いのハンモックの上で静かに横たわっており、遺体には攻撃を受けた跡もなかったという。
部族が殺戮にさらされたのは1970年代から1980年代にかけて。ブラジルのジャングルで伐採や農業を営む者らが先住民を一掃し始めた。1995年、最後の5人組が殺されたものの、この「穴の人間」は死を免れた。CNNは最後のひとりの死亡で部族の大虐殺は完了したと報じた。国立インディオ基金は幾度もこの「穴の人間」と接触しようとしたものの、失敗に終わっていた。
それでも基金はたった一人で奮闘する男性を支えようと、森の中の男性のテリトリーにさまざまな食糧を置いていった。観察を続けていた研究者らは、この間に男性はトウモロコシやパパイヤを栽培し、葦や藁で小屋を建てていることを確認している。CNNの報道によれば、遺体は解剖のために医療関係者に引き渡される。
スプートニクは先に、国立インディオ基金が2018年、奇跡的に生き延びた、この男性の動画撮影に成功したと報じていた。映像では、半裸の男が自作の斧で木を切っているシーンが映し出されている。
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