フィガロは、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長が今年8月末にカナダを訪問した際に行った発言を引用している。ストルテンベルグ氏は「ロシアのミサイルまたは爆撃機が北米に向かうことができる最短ルートは北極を経由しており、したがって北米航空宇宙防衛司令部の役割が重要にる」と述べた。一方、ストルテンベルク氏は、近い将来、地球温暖化の影響で海氷の融解が進み、北西航路が1年のうち数か月間航行可能となり、その結果、特に軍用船舶の航行が増加する可能性があるため、北米への脅威は海からももたらされる可能性があると警告し、2022年7月末にロシアのプーチン大統領がロシアの北極圏における艦隊の強化を発表したことに言及した。
フィガロは、北極圏には米国の強力な軍事プレゼンスがあるが、ロシアは北極圏に軍事的優位性を持っていると報じている。米国とカナダは、より南にある基地からカ ナダ極北へ部隊を迅速に派遣することができるが、米加の兵士は極地の気候に対する準備ができていない。一方、ロシアは北極圏に軍事基地を復活させ、新たな軍事基地も建設し、すでに軍人を配置している。軍事基地には新しい港と飛行場があり、ロシア北方艦隊は極超音速ミサイルシステム「ツィルコン」を装備している。
一方、フィガロは、北極圏における西側の利益に対する脅威はロシアだけではないと警告している。同紙によると、中国が北極圏開発に大きな関心を示している。中国は2018年に白書「中国の北極政策」を公表した。その目的が科学的及び軍事的な遠征のほかに、中国は「極地のシルクロード」の一部として、天然資源が豊富なこの地域にさらに大きな関心を示しているという。学者らによると、世界でまだ発見されていない原油の15%と天然ガスの30%が北極圏にあるため、これは驚くべきことではない。また中国は、カナダのヌナブト準州ですでに鉱山を手に入れた。さらに中国は、2008年の金融危機で破綻したアイスランドへの融資と引き換えに、北極評議会にオブザーバーとして参加することができた。
先に、米国をはじめとする西側諸国はロシアと中国が北極圏に存在することがまるで脅威であるかのように誇張しており、その目的は、中国の北極政策を完全に歪め、安全保障を口実にロシアを抑止することだと報じられた。
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