特に危険な感染症について研究するウラジスラフ・ジェムチュゴフ氏は以前、ロシアのコウモリから発見されたウイルス「Khosta-2」は、現在のところ人間にとって無害だが、ヒトからヒトへと感染する能力を獲得すると、危険な存在になり得ると指摘した。ロシアのコウモリから検出されたウイルス「Khosta-1」と「Khosta-2」は、新型コロナウイルスと同様にサルベコウイルスに属する。学術誌「PLoS Pathogens」に掲載された研究論文によると、この2つのウイルスは、2020年にロシア南部のソチ近郊に生息するコウモリから発見された。
ドゥルマノフ氏はスプートニクに対し、世界には多数のコロナウイルスが存在すると語っている。
ドゥルマノフ氏は、「実際のところ、地球上にはコロナウイルスが多く存在し、その数はおそらく何千にものぼる。そして人々は定期的にこういったウイルスに接触している。我々の日常生活では30〜40年前から流通しているウイルスが4種類あり、我々は日常的に感染している。風邪の約15%はコロナウイルス感染によるものだが、これらのウイルスは新型コロナウイルスより弱い。これからは新型コロナウイルスがその4種類のウイルスに加わって、季節性の感染症になる。つまり、そういったウイルスは5種類になるということだ。ヒトに感染させ、ヒトにとって危険な存在になる新たなコロナウイルスが出現しないという保証はない。しかしそれと同時に、新型コロナのようにパンデミックという形になる懸念も今のところはない」と述べている。
同氏は、ロシアに生息するコウモリから検出されたウイルスは、パンデミックをもたらすような最も危険な感染源にはならないと指摘している。
同氏は、「いずれにせよ、ロシア、ヨーロッパ、米国のコロナウイルスは、将来的にパンデミックをもたらすような最も危険な感染源ではない。同じコウモリでも、東南アジアの場合だとウイルスの数ははるかに多い。(中国)武漢のある洞窟に生息するコウモリからは200種類ものコロナウイルスが検出されることがあり、その多くは、ロシア南部で発見されたウイルスよりもはるかにヒトに感染させやすい」と説明している。
ドゥルマノフ氏によると、これらのウイルスに対処するための最も良い方法は、先んじて研究することだという。
同氏は、「それらのウイルスはどんなものなのか、どのように変異するのか、我々の体にどのような影響を与えるのか、そのメカニズムを理解する必要がある。ワクチンやその他のことについても、予め考えておかなければならない」と述べている。
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