「NATO内では依然として米国の支配が続いているため、NATOの行動の重心は間違いなく米国が自国にとって戦略上、主要な方向性だと見定める場所に移動する。現時点では、米国と西側諸国は中国の影響力の増大を懸念しているため、戦略的視線を中国に近い地域に向け、その封じ込めを図っている」チェン氏はこう語っている。
チェン氏によれば、NATO軍がアジア太平洋にシフトした兆候は出そろっている。2018年以降、英独仏は南シナ海を含む太平洋のこの海域で、あらゆる方法でアピアランスを拡大。チェン氏はその証拠として、英国の空母クイーン・エリザベス、独の駆逐艦バイエルン、仏の空母シャルル・ド・ゴールが短期間にアジア太平洋に出現したことを挙げている。
台湾海峡で最近、始まった緊張は、NATOがアジア太平洋地域への独自の姿勢をすでに形成し、それを地域のできるだけ多くの国々に押し付けるためにあらゆる手段を講じていることを明確に示したとチェン氏は指摘する。一例として、NATO諸国、特に英独仏がG7会合の場で、またEUを代表して、あるいは英国の個別の外交声明など、事あるごとに南シナ海関連の問題に外交姿勢を示すことが増えてきたこと、またNATOは今年2022年、フィリピンについて、また台湾問題について、積極的な発言が目立っていることをチェン氏は列挙している。
しかし、チェン氏は、最も重要なのは、英独が自国がインド太平洋地域で行う軍事活動を新たな「正常な事項」に変えたいと事実上願っていることだとは強調する。NATO軍は現時点では南シナ海周辺国に駐留していないものの、中国サイドでは、NATOは南シナ海と台湾海峡の緊張地帯をターゲットにしていると理解されている。チェン氏はまた、この地域におけるAUKUSの出現と、NATO主導国がアジア太平洋諸国との間に二国間軍事安全保障協力メカニズムの構築を試み続けている事実を指摘している。こうした新しい同盟関係をチェン氏は、NATOが同地域に長期的なアピアランスを確保するための計画の重要な一部とし、一例として、日独が情報共有協定を締結し、実際上、軍事的な相互支援に合意したことを挙げている。
スプートニクによると、ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記は、ASEAN諸国とのビデオ会議において、アジア太平洋地域への米国のミサイル防衛システムの配備は特に危険であり、米国は「防衛用兵器のもとで、同地域における自国の攻撃能力の配備をカモフラージュしている」と述べた。
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