環境保全団体「バルトの生態系」のイナ・トロポワ氏は、もしガス供給のバルブが閉められていないときにガス漏れが起こっていたら、より酷い惨劇になっていたと指摘する。ガス漏れ当時、ノルドストリーム1、2ともに供用停止中で、漏れ出たのは工業用ガスであった。これが天然ガスだったら2021年にメキシコ湾で起こったような大規模な火災に発展していたという。
ノルドストリームは供給停止中だったとはいえ、数千万立法メートルの工業用ガスによって満たされていた。そのため爆発は起こり、生物を死滅させ、生態系に悪影響を与えているという。爆発の際に死んだ生物もいれば、海流によって運ばれたメタンガスによって窒息死したものもいる。また、爆発に伴い大量の二酸化炭素が大気中に放出されたため、地球温暖化の加速にもつながる。
バルト海は漁獲の対象となる魚の種類が多いことでも知られている。特にサケやタラ、イワシ類、ウナギ、イカなどが有名だ。また、アザラシなども生態系で重要な位置を占めている。トロポワ氏はじきにガス漏れが起こった付近の海面に大量のサケの死体があがると予想。海中の植物相の被害も過小評価できないと指摘する。このようにノルドストリームのガス漏れは、二酸化炭素の大量放出とともに、生態系の大量破壊をもたらしかねないというわけだ。
スプートニクはこれまでに、ノルドストリームのガス漏れについての各国の反応をまとめた。ロシアはパイプラインに対する破壊工作との可能性を排除できないとしており、NATOの研究者も「反クレムリン派が背後にいる可能性があり、ウクライナか他の国々である可能性もある」との考えを示している。
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