尊敬するロシア国民の皆さん、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ヘルソン州、ザポロジエ(ザポリージャ)州の住民の皆さん、下院議員、上院議員の皆さん!
ご存知のように、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ヘルソン州、ザポロジエ州では住民投票が行われました。その結果はまとまり、結果は明白です。人々は自らの選択を成し遂げたのです。
今日わたしたちは、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ヘルソン州、ザポロジエ州をロシアへ受け入れる条約に調印します。新たな4つの地域をロシア連邦の構成体に編入する憲法を議会が支持するものと確信しています。なぜならこれは数百万の住民の意思だからです。新しいロシアの領土に住む人々の選択、それは国連憲章に定められている奪うことのできない権利です。
繰り返しますが、これは決して奪うことができない人々の権利で、歴史的な団結に基づいています。その団結のもと、古代ルーシから数世紀にわたって、わたしたちの祖先はロシアを守り、勝利してきました。ここ、ノボロシア(新ロシア)ではルミャンツェフ、スボーロフ、ウシャコフが戦い、エカチェリーナ2世やポチョムキンが新しい街を創設しました。ここでは大祖国戦争(編注:第二次世界大戦の独ソ戦)の際にわたしたちの祖父や曽祖父が死守しました。
わたしたちは母国語で語る権利や自らの文化と信仰を守るために、2014年にウクライナで起きたネオナチのクーデターをよしとせず闘った英雄らを決して忘れはしません。その英雄とはドンバスの戦士であり、「オデッサ・ハティン(編注:2014年に港湾都市オデッサで置きた親露派と反露派の衝突事件)」の殉教者であり、ウクライナ政権による非人道的テロの犠牲者です。そして義勇兵であり民兵であり、民間人、子どもたち、女性、老人、ロシア人、ウクライナ人など様々な民族です。真の民族的リーダーであるドネツクのアレクサンドル・ザハルチェンコであり、軍事司令官のアルセン・パブロフ、ウラジーミル・ゾーガ、オルガ・コチュラ、アレクセイ・モズゴボイ、ルガンスク検察官のセルゲイ・ゴレンコ(編注:2014年以降のウクライナ政権との戦いで犠牲になった政治家や軍指導者たちを列挙)、そして特殊軍事作戦の過程で勇敢に散ったすべての兵士たちです。彼らは偉大なロシアの英雄です。黙祷を捧げましょう。
(黙祷)
ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ザポロジエ、へルソン両州はロシアと共通の運命を持っています。こうした精神的つながりは子へ孫へと受け継がれてきました。どんな経験にも関わらず、ロシアへの愛は時を超えたのです。そしてその感情は誰も壊すことができないものです。それが高齢者も、またソ連崩壊という悲劇の後に生まれた若者も、わたしたちの共通の未来に投票した理由です。
1991年、ベロヴェシの森で一般市民の意見を聞くことなく、当時の党のエリートらはソ連の解体を決定し、人々は突然自らの祖国を奪われました。それはわたしたちの民族的統一性を引き裂き、ばらばらにし、国家的大惨事となりました。かつてロシア革命後にソビエト各共和国の国境線が秘密裏に引かれたように、ソ連の最後の指導者らも1991年の国民投票によって直接的に示された大多数の意見に反して、わたしたちの偉大な国を解体したのです。そして、その後になって、国民にその事実をつきつけたのです。察するに、彼らも自分たちが何をしているか、どのような結果をもたらすかを完全には理解できていなかったのでしょう。でも、それはもはや重要なことではありません。ソビエト連邦はすでになく、過去は取り戻すことはできないのです。ロシアは今日、ソ連を必要としておらず、我々はそれを目指しているわけではないのです。しかし文化、信仰、伝統、言語などで自らをロシアの一部とみなしている数百万規模の人々、その祖先が数世紀にわたって一つの国に住んでいた人々の決意ほど強いものはありません。歴史的祖国に戻りたいという彼らの決意より強いものはないのです。長い8年間の間、ウクライナ政権はドンバスでジェノサイドを行い、銃撃や包囲を行いました。ヘルソンやザポロジエではロシアとすべてのロシア人に対する憎悪を犯罪的に植え付けようとしました。
今、ウクライナ政権は、住民投票の過程で教師や女性、選挙事務所の職員を迫害し、死に追いやっています。自らの意思を表明しに来た数百万の人々を、抑圧によって脅かしています。しかし、不屈のドンバス、ザポロジエ、ヘルソンの人々は自らの言葉を口にしました。ウクライナ政権やその主である西側諸国の人々にわたしの話を聞いてもらいたいのです。ルガンスク、ドネツク、へルソン、ザポロジエの人々はわたしたち(ロシア)の国民となるのです。永遠にです。
わたしたちは攻撃や戦闘行為を即時停止するようウクライナ政権に呼びかけます。2014年にウクライナ政権が始めた戦争を停止し、交渉のテーブルに戻るべきであると。わたしたちはこれ(編注:交渉)に対する用意があります。そのことは一度ならず伝えてきました。しかし、ドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、へルソンの住民の選択については議論する余地はありません。
それはもう完了したことであり、ロシアは彼らを裏切りません。現在のウクライナ政権はロシア編入を選択した人々の自由意志を尊重しなくてはなりません。そうしてのみ平和への道は開かれるのです。わたしたちの人々の平穏な生活を保証するため、わたしたちは持てるすべての力と手段を使い、自らの土地を守ります。これは解放のためのわたしたち国民の偉大な使命なのです。破壊された街や村、家や学校、病院を必ず再建し、産業、工場、インフラを育て、社会システム、年金や健康、教育の保証を成し遂げます。もちろん、厳戒態勢のなかで臨むことになります。新しい地域の人々がロシアの全国民、全国、全共和国、地方、州、我々の偉大な祖国から支援を受けていると感じられるよう努力していきます。
尊敬する友人、同僚の皆さん!
今日は特殊軍事作戦に参加している兵士や将校、ドンバスやノボロシアの兵士、部分動員によって愛国的義務を果たしている人々、自らの意思で入隊を志願した人々に語りかけたいと思います。そして彼らの親や妻、子どもたちに対して、わたしたち国民がどのような敵と戦っているのか、どんな敵が世界に新たな戦争や危機を生み出し、この惨劇から血塗られた利益を引き出しているのかについて話したいと思います。
わたしたちの同胞、ウクライナにいる兄弟姉妹は、いわゆる支配層である西側が全人類に何を準備しているかその目で見てきました。ここにきて彼らはその仮面を外し、本当の姿をみせました。
ソ連崩壊後、西側は、世界は彼らの独裁に永遠に甘んじることになると考えました。1991年当時、欧米諸国はロシアがこうしたショックからもはや立ち直れず、さらに自壊していくと予想したのです。確かに90年代、恐ろしい90年代、飢えた、寒い、希望のない時代がありました。しかしロシアは持ち堪え、再生し、より強大なものとなり、再び世界で然るべき地位を占めました。同時に、西側諸国はロシアを攻撃し、弱体化させ、崩壊させる新たなチャンスを常に探し続けてきました。彼らは我々の国を粉砕し、民族同士で戦うようけしかけ、貧困と絶滅を運命づけようとしてきました。彼らはとにかく、領土や自然や天然資源、人材が豊富で他人の命令に従って生きることを知らない偉大で巨大な国があることに納得できないのです。
西側諸国はこの新植民地主義システムを守るためあらゆることをする用意があります。実際にはドルの力とテクノロジー的な押しつけ政策で世界から強奪し、人類からまさに年貢を集め、不労所得の源泉や覇権から利益を抽出するということです。この利益の維持というものが、彼らの純粋かつ完全に利己的な動機の鍵なのです。西側諸国とってはすべての国が米国の利益のために主権を受け渡すことが重要なのです。だからこそ、完全な脱主権化が彼らの利益となるのです。そこから彼らによる独立国家や伝統的な価値観、独自の文化への攻撃が生じ、彼らによる制御が効かない国際的な統合プロセスや新しい世界通貨や技術発展の中心を弱体化させようとしているのです。特定の国の指導者たちは、自発的にそうすることに同意し、自発的に属国になり、他国を買収し、恐喝することに同意しています。
もしもそれがうまくいかなければ、それらの国全体が破壊され、その後、人類の悲劇、貧しさ、荒廃、また数百万人の破壊された運命、テロの飛び地、社会的貧困地域、保護主義者、植民地、半植民地をもたらすのです。彼らは自らの利益さえ手に入れることができれば、そんなことは気にもならないのです。ここで今一度、強調したいのは、何ものにも制限されない権力を維持する貪欲さと思惑に、その「集団的な西側」がロシアに対して行っているハイブリッド戦争の真の理由だということです。彼ら(欧米)はわたしたちに自由を望んでいるのではなく、わたしたちを植民地と見なそうとしいます。彼らは自由な社会を求めているのではなく、我々を魂のない奴隷の群れと見なそうとしているのです。わたしたちの思想や哲学が彼らにとっての直接的な脅威であり、それゆえ、彼らはわたしたちの哲学者たちを攻撃しているのです。我が国の文化や芸術は彼らにとって危険なものであるとして、それを禁止しようとしています。わたしたちの発展と繁栄も彼らにとっての脅威です。競争が激化しているのです。概して、彼らにロシアは必要ないのです。ロシアはわたしたちに必要なものなのです。
(拍手)
ここで思い起こしてほしいのは、世界制覇に対する要求は、過去にすでにわたしたちの民族の勇敢さと不屈の精神によって、一度ならず粉砕されてきたということです。
ロシアは常にロシアであり続けるのです。わたしたちは、また今、自分たちの価値観を守り、祖国を守っていくのです。西側は何の罪にも問われず、罰せられずに済むものと期待しています。実のところ、これまでも何ら罰せられることなくここまできました。
戦略的安全保障協定はゴミ箱行きです。もっとも高いレベルで達した合意が『ほら話』だと宣言されています。NATOが東方拡大を行わないという堅い約束は、ロシアのかつての指導者たちがそれを信じるや否や、汚らしい嘘であったことが判明したのです。対ミサイル防衛、中・短距離ミサイルに関する条約は、こじつけの口実の下、一方的な形で、破棄されました。
ただあらゆる方面から聞こえてくるのは、「西側はルールに基づいた秩序を守っている」という言葉だけです。しかしこのような言葉はどこからきたのでしょうか。誰がこのルールを目にしたでしょうか。誰が合意を取り付けたのでしょうか。
よく聞いてください。これはただの戯言であり、果てしない欺瞞であり、そしてダブルスタンダード、もっと言えばトリプルスタンダードなのです。まったく愚か者を相手にしたものです。
ロシアは1000年の歴史をもつ偉大なる大国であり、文明国です。そこで、このようなごまかされた嘘のルールに沿って生きていくつもりはありません。
(拍手)
西側は国境の不可侵の原則を踏みにじり、そして今、誰が自決権を有し、誰がその権利を有するに相応しくないのかについて、独自の解釈で決定を下しています。なぜ彼らがそう決めたのか、そして誰がそんな権利を彼らに与えたのかは分かりません。おそらく、自分たちで自分たちに与えたのでしょう。クリミア、セバストポリ、ドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、ヘルソンの人々の選択に、彼らが激しい嫌悪感を感じるのはそのためです。
彼らに評価を与える道徳的権利などありません。西側には、民主主義の自由について語る権利すらないのです。これまでもそんな権利はあったことはありません。西側のエリートたちは、国家の主権のみならず、国際法をも否定しています。彼らの覇権主義には、全体主義的、専制主義的、そしてアパルトヘイト的な性格が明確に表れています。
彼らは厚かましくも、世界を自分たちの属国、いわゆる文明国と、現在の西側の人種差別主義者の考えによって、野蛮人や未開人のリストに加えられるべきその他の国とに区分しています。「ならず者国家」、「独裁主義体制」という偽のレッテルはすでに用意されており、彼らは多くの国民や国家にその烙印を押しています。これは何ら目新しいことではありません。
これはまったく新しいことではありません。西側のエリートたちは、かつてそうであったように、今も植民地主義者のままなのです。彼らは差別し、民族を「一級」と「それ以外の等級」とに分けているのです。
わたしたちは、これまで一度もそのような政治的ナショナリズムや人種差別というものを受け入れてきませんでした。そしてこれからも受け入れることはありません。さて、では、現在、世界中に広まっているロシア人排斥の動きは、人種差別でなくて何なのでしょう。西側の文明、新自由主義文化こそが全世界にとっての疑いようのないモデルであるという西側の断固たる確信は、人種差別でなくて何なのでしょう。
「我々と共に歩まないものは、我々の敵である」。これらはすべて奇妙に聞こえます。
西側のエリートたちは、自身の歴史的な犯罪に対する罪さえも、他のすべての人々に転嫁し、自国民、また他の国民に対し、たとえば、植民地支配の時代に対してなど、彼らにはまったく関係のないことに対し謝罪するよう求めています。
西側に思い起こしてもらいたいことは、西側こそが、中世から植民地政策を開始し、その後、世界的な奴隷貿易を行い、アメリカにおけるインディアン部族を虐殺し、インド、アフリカを掠奪し、結果的にアヘン貿易のための港を開く必要に迫られることになった英国とフランスの対中戦争を始めたということです。彼らが行ったことは、多くの人々を麻薬中毒にし、土地と資源のために多くの民族を意図的に絶滅し、まるで獣に対してするように、人々を狩ったということです。
これは人間の本質、真実、自由、公正さに反するものです。わたしたちは、20世紀に、他でもないわたしたちの国が反植民地運動を主導し、世界の多くの国民に発展の可能性を開き、貧困と不平等を低減させ、飢えと病を克服したことを誇りに思っています。強調したいことは、何世紀にもわたるロシア嫌い、ロシアに対する西側のエリートたちのあからさまな悪意の原因の一つは、まさにわたしたちが、植民地支配の時代に、彼らに絞り上げる機会を与えず、ヨーロッパの国々に互恵的な貿易を強いたことによるということです。このようなことを成し遂げることができたのは、ロシアに強力な中央集権国家を作り、それを発展させ、正教、イスラム教、仏教の偉大な道徳的価値観と万人に開かれたロシア文化とロシア語によって、それを強化させたからです。
よく知られてるように、ロシアに対する介入の計画が何度も立てられ、17世紀初頭の動乱の時代や1917年の混乱の時代も利用されようとしました。しかし、それは失敗に終わりました。
国家が荒廃していた20世紀末、西側は富を手に入れることができました。当時西側は、わたしたちのことを友人やパートナーと呼びながら、実際には植民地として扱っていたのです。わたしたちはこれらすべてを覚えています。何一つ忘れてはいません。そして最近、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポロジエの人々は、わたしたちの歴史的な統一を回復することを支持すると表明したのです。
そのことに感謝します!
(拍手)
西側諸国は何世紀にもわたって、他国に自由と民主主義をもたらすと言い続けてきました。しかし、すべてはその正反対です。民主主義の代わりに抑圧と搾取が、自由の代わりに奴隷化と強制を行ってきたのです。一極体制の世界秩序は本質的に、反民主主義的であり、不自由であり、偽りと偽善に貫かれたものです。
米国は2度にわたって核兵器を使用し、日本の広島と長崎を破壊した唯一の国です。これは前例を作ったということです。思い起こしていただきたいのは、米国は英国とともに、第二次世界大戦において、軍事的な必要性もなく、ドレスデン、ハンブルグ、ケルン、その他の多くのドイツの都市を廃墟にしたことです。
繰り返しになりますが、何の軍事的な必要性もないもので、これみよがしに行われたのです。目的はたった一つ。日本に対して行った原爆投下と同じく、わたしたちの国、そして全世界を恐怖に陥れるためです。米国は、韓国、ベトナムの人々の記憶に、野蛮人の「絨毯爆撃」、ナパーム弾、化学兵器などの恐ろしい爪痕を残しました。米国はドイツ、日本、韓国、その他多くの国々を事実上占領していますが、それらの国々を冷笑的に、「平等な権利を持つ同盟国」と呼んでいます。
よく聞いてください。一体、この同盟関係とは何なのでしょうか。これらの国々の指導者が追跡され、これらの国々の国家元首に対しては、職場だけでなく、住宅でも盗聴器が仕掛けられていることを、全世界が知っています。これは真に恥ずべきことです。これを行っている人にとっても、またまるで奴隷のように、黙って、従順にこの厚顔無恥な行為を飲み込んでいる人にとっても恥ずかしいことです。彼らは、自分たちの属国に対する命令、粗野で侮辱的な脅しを、ヨーロッパ大西洋の連帯と名づけ、生物兵器の開発やウクライナでのものを含む人体実験を崇高な医療研究だと呼んでいます。他でもない、自分たちの破壊的な政策、戦争、掠奪が、現在の移民の急増を引き起こしています。その欧州に辿り着こうとする数百万の人々が窮乏に苦しみ、虐待を受け、数千人の人々が犠牲となっています。現在、ウクライナから小麦が輸出されています。「世界の貧困国の食糧安全保障」を口実に、その小麦はどこに向かっているのでしょうか。一体どこに運ばれているのでしょうか。すべてヨーロッパ諸国に向かっています。世界の貧困国に向けられているのはわずか5%です。
これはまたしても、デマであり、明白な欺瞞です。米国のエリートたちは本質的に、これらの人々の悲劇を、自身の競争相手を弱体化し、民族国家を破壊するために利用しています。これはヨーロッパにも当てはまることであり、フランス、イタリア、スペイン、数世紀の歴史を持つ他の国々にも関係しています。米政府は、ロシアに対する新たな制裁を求めており、欧州の政治家のほとんどがこれに従順に同意しています。彼らは、米国が、ロシアのエネルギーやその他の資源を完全に拒否するようEUに圧力をかけながら、実質上、欧州の脱工業化を図り、欧州市場を完全に手に入れようとしていることをはっきりと理解しています。欧州のエリートたちはこのすべてをよく理解しています。すべて理解しているのに、他国の利益のためになることを選んでいるのです。
これは、もはや隷属ではなく、自国民に対する直接的な裏切りです。しかし、いいでしょう。それは彼らの問題なのですから。
しかし、アングロサクソン人は制裁では飽きたらず、破壊工作へと移行しました。信じがたいことですが、事実、バルト海底に敷設されている国際的なガスパイプライン「ノルドストリーム」を爆発させ、事実上、全ヨーロッパ共通のエネルギー・インフラの破壊を始めたのです。
これが誰の利益になるのかは誰の目にも明らかです。もちろん、利益になる者がこれを行ったのです。米国の強制は、暴力と拳の力で行われています。
美しく包み覆われた場合もあれば、包み覆われていないこともありますが、本質は一つ、同じ拳の力です。こうしたことから、世界のあらゆる場所で数百の軍事基地が配備、維持され、NATOが拡大し、オーカスやそれと同様の新たな軍事同盟を次々に結成されているのです。
米国、韓国、日本の軍事政治的関係の構築に向けた作業も積極的に進められています。真の戦略的主権を持っている国や持とうとしているすべての国、そして西側の覇権主義に挑戦状を突きつけることができるすべての国は、自動的に敵に分類されます。このような原則に基づいて、完全な支配を求める米国やNATOの軍事ドクトリンは成り立っています。西側諸国のエリートたちは、偽善的に新植民地主義的計画を練り、平和愛好的態度を要求しながら、ある種の抑止について口にし、同様の狡猾な言葉をある戦略から別の戦略へと移行させていますが、本質的にそれは一つのことを意味しています。それは主権を持つすべての発展の中心地を弱体化させるというものです。
わたしたちはすでにロシア、中国、イランの抑止について耳にしています。おそらく、次には、アジア、南米、アフリカ、中東の国々、そして現在の米国のパートナー国や同盟国がその順番のリストに付け加えられるでしょう。
わたしたちは知っています。彼らは何か自分たちの意にそぐわないことがあると、同盟国に対しても制裁を発動します。たとえば、ある銀行に対して、また別の銀行に対して、ある企業に対して、また別の企業に対してというようにです。これは実際に行われていることであり、こうしたやり方はますます拡大していくでしょう。そしてわたしたちにとってもっとも近しい隣人であるCIS諸国を含め、すべてが彼らのターゲットとなっています。同時に、西側は明確に、そしてかなり以前から、自分たちが望んでいることを実際のことのように見せかけています。そしてロシアに対する制裁の電撃戦を目論みながら、彼らは、ふたたび、自分たちの同盟国で世界を構築することができると考えたのです。しかし、実際には、そのような希望に満ちた展望は、完全な政治的マゾヒストとまた国際関係における非伝統的な形式を支持する者を除いて、すべての者の好奇心をかき立てるものではないことが分かったのです。大多数の国は、「挙手の敬礼をする」のを拒否し、ロシアとの協力という理性的な道を選んでいます。
西側は、明らかにこのような反抗的態度を予期していませんでした。彼らはパターン通りに行動し、厚顔、恐喝、買収、脅迫ですべてを手に入れることに慣れていて、こうしたやり方が、過去に決められ、固定されたものであるかのように、永遠に有効であると信じています。このような自己過信は、自分たちが優位であるという悪名高いコンセプトだけでなく―もちろん、これは驚きを呼び起こすものであるのですが―西側の真の「情報の飢え」を直接、生むものです。西側は、度を超えたヨーゼフ・ゲッベルス(ナチスドイツの宣伝相)の伝統に則ったプロパガンダを利用し、真実を神話と幻想とフェイクの海に沈めました。人々は、その嘘が信じられないものであればあるほど、それをすぐに信じるもので、彼らはこの原則に従って行動しています。しかし、印刷されていないドルやユーロで人々をお腹を満たすことはできません。これらの紙幣では誰のお腹を満たすことはできません。西側のソーシャルネットワーク上の、欺瞞に満ちたバーチャルの資本主義化で家を暖めることはできないのです。
わたしが述べていることはすべて重要なことです。しかし、今述べたことも、同様に重要なことです。紙幣で人々のお腹を満たすことはできません。必要なのは食料です。そして欺瞞に満ちた資本主義化では誰も暖めることはできません。必要なのはエネルギー資源です。そこで、その欧州の政治家たちは、自国の国民に対し、食べる量を減らし、入浴の回数を減らし、家の中で暖かい格好をするよう説得する必要に迫られています。
そこで、「しかし実際のところ、それはなぜなのか?」と正当な質問を投げかけ始める人々に対しては、すぐに、敵だ、過激主義者だ、急進主義者だと宣告します。そしてロシアにその矛先を向け、これがわたしたちのすべての災難の根源だと言うのです。また嘘をつくのです。
とくに指摘し、強調したいのは、西側のエリートたちが、他でもない自分たちの罪によって、そしてウクライナ、ドンバスでのわたしたちの特別軍事作戦が開始されるずっと前から長年にわたって西側が行ってきた政策の結果として今起きている世界的な食糧危機、エネルギー危機からの建設的な解決法を模索しようとしていないと考えるあらゆる根拠があるということです。彼らは不公正、不平等の問題を解決しようとはしていません。彼らは、自分たちがやり慣れた別のやり方を用いる危険性があります。
ここで思い出すべきことは、西側は、第一次世界大戦を用いて、20世紀初頭の矛盾から脱したということです。第二次世界大戦による利益は、米国が大恐慌による影響を完全に克服し、世界最大の経済大国となり、世界の準備通貨としてのドルの力を世界に押し付けることを可能にしました。西側は、多くの点において、最終的に崩壊してしまったソ連の遺産と資源を獲得することで、1980年代に深まった危機―1980年代にも危機が激化したのですが―を克服することができました。これは事実です。
現在、また新たなに生まれた矛盾のもつれを解くため、彼らは、他人の富をより多く掠奪し、そうすることで自分の穴を塞ぎ、埋めるために、どうしてもロシアや主権的発展の道を選択するその他の国々を打ち砕く必要があるのです。
もしそれができない場合には、システムをまったく崩壊させようとし、それを誰かのせいにしたり、あるいは
―そうはなってほしくはないが―「戦争はすべてを帳消しにする」という有名な言葉を使おうとするでしょう。
ロシアは国際社会に対する自らの責任を理解しており、このような熱血漢たちを正気に戻すためにあらゆることを行うつもりです。この新植民地モデルが、最終的に破滅する運命にあることは明らかです。
しかし、繰り返しますが、そのモデルの真の支配者は最後までそれにしがみつくでしょう。彼らは、その掠奪と恐喝のシステムを維持すること以外、世界に提案できるものがないのです。本質的に、彼らは、数百万の人々、人類の大部分が持つ自由と公正に対する当然の権利、自分自身で独自に未来を決めるという権利を軽視しています。現在、彼らは道徳的規準、宗教、家族を徹底的に否定する方向に進んでいます。この非常に単純な質問に自分自身で答えを出してみましょう。
すでにわたしが述べたことに再び戻り、このホールに集まっている同僚だけでなく、ロシアのすべての国民に対し、語りかけたいと思います。わたしたちは本当に、このロシアという国において、母や父の代わりに、「第1の親」、「第2の親」、「第3の親」(すでにそこで後退りしている!)の親を持ちたいでしょうか。わたしたちは本当に、わたしたちの学校で、低学年から、子どもたちに退化や絶滅につながるような歪曲を押しつけたいのでしょうか。女性と男性の間に別の性別が存在するということを理解させ、性転換手術を提案してもらいたいのでしょうか。わたしたちは本当に、自分たちの国、自分たちの子どもたちのためにこうしたことを求めているのでしょうか。わたしたちにとってこれらはすべて受け入れられないことです。わたしたちには別の、独自の未来があります。もう一度繰り返します。西側のエリートたちの独裁は、自分たち西側諸国の国民を含めたすべての社会に向けられています。これはすべての人々にとっての挑戦です。
こうした完全な人間否定、信仰と伝統的価値の破壊、自由の抑圧は、「宗教とは真逆の」露骨な悪魔崇拝の性格を帯び始めている。イイスス・ハリストスは、山上の垂訓の中で、偽預言者を暴き、「彼らは実で見分けることができる」と言いました。そしてこの毒入りの実は、わたしたちの国だけでなく、西側自身の多くの人々を含め、すべての国々ですでに明らかなものとなっています。
世界は革命的な変革期に突入しました。それは原理主義的な性格を帯びています。
新たな発展の中心が形成されており、それは国際社会の大部分を代表するものであり、自らの利益を主張するだけでなく、それを保護し、多極体制の中に自身の主権を強化する―つまり真の自由、歴史的展望、独自性に対する権利、創造的、独自の発展、調和の取れたプロセスを手に入れる可能性を目にしています。
すでに述べたように、欧州や米国を含む世界中に、わたしたちと同じ思想を持つ仲間が多く存在し、わたしたちは彼らに支持されていると感じています。さまざまな国や社会においてはすでに、一極の覇権主義への反対という性質を持った解放運動、反植民地運動が展開されています。その主体は増加する一方です。他でもないこの力が未来の地政学的現実を決定づけるのです。
尊敬する友人の皆さん!
今日、わたしたちは、何よりもまずわたしたち自身のため、ロシアのため、そして独裁、専制が過去のものとなるよう、公正で自由な道を手にするべく戦っています。
誰かを排除し、他の文化や民族を抑圧するような政策が本質的に犯罪であり、この恥ずべきページを捲らなければならないことを、多くの国や民族が理解していると確信しています。すでに始まった西側の覇権主義の崩壊は不可逆的なものです。そしてもう一度繰り返しますが、もはや以前のようにはなりません。
運命と歴史がわたしたちを向かわせた戦場は、わたしたち民族のため、偉大な歴史的ロシアのための戦場です。偉大な歴史的ロシア、未来の世代、わたしたちの子ども、孫、ひ孫たちのための戦場です。わたしたちは彼らを、奴隷化や彼らの意識と心を損なわせようとする恐ろしい実験から守らなければなりません。今日わたしたちは、ロシアとわたしたちの民族、言語、文化を歴史から消し去ることができるのだという考えを誰にも決して持たせないよう、戦っています。今日、わたしたちに必要なのは、社会全体の団結であり、そうした連帯を基礎として初めて、主権、自由、創造、公正というものが存在しうるのです。
わたしたちの価値観は、人間愛、慈悲、そして憐れみです。
そして、真の愛国主義者イワン・アレクサンドロヴィチ・イリインの言葉でこの演説を締めくくりたいと思います。
「わたしがロシアを祖国と考えるということは、ロシア語で愛し、考察し、思いを馳せ、ロシア語で歌い、話すということであり、ロシア民族の精神力を信じるということだ。その精神はわたしの精神であり、その運命はわたしの運命であり、その苦しみはわたしの悲しみであり、その繁栄はわたしの喜びである」。
この言葉の裏にあるのは、1000年以上にわたるロシア国家の歴史の中で、多くの世代の祖先たちが守ってきた偉大なる精神的選択です。
今日、わたしたちも、そしてドネツク、ルガンスク人民共和国、ザポロジエ、ヘルソン州の住民もこの選択を行いました。彼らは自国の国民、祖国とともに運命を生き、祖国とともに勝利するという選択を行ったのです。
真実は我々と共にあり、ロシアは我々と共にあるのです。
(拍手)