同紙によると、UNCTADは報告のなかで、多くの国でインフレ対策として行われている政策金利の引き上げなどの措置が「軽率な賭け」であると指摘。これが世界に、特に発展途上国や最貧国にとって悪い結果をもたらすリスクがあると警鐘を鳴らす。
米国の中央銀行にあたる連邦準備制度(FRB)は記録的なインフレに対応するため、英国、欧州連合(EU)の中央銀行と協調して、来月にさらなる政策金利の引き上げを検討している。
UNCTADはインフレの主要因はエネルギー価格や食料の高騰、貿易摩擦であると指摘。景気の過熱、つまりモノやサービスの需要が過剰になっているのが理由ではないとして、先進国による強硬なインフレ対策は「誤り」で世界情勢に鑑みると「時宜を得ない不適当なもの」としている。
FRBによる金利引き上げは、発展途上国(中国を除く)に計3.6兆ドル(約521兆円)規模の消費減退を招くと試算されている。UNCTADは、ただでさえ新型コロナウイルスによるパンデミックやウクライナ紛争の影響であえいでいる最貧国の債務危機を避けるため、「方針の転換」を求めている。
9月22日、日本政府と日銀は、急激な円安に歯止めをかけるため円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。日銀が円買い・ドル売りの為替介入を行うのは、1998年6月以来の24年ぶりで、その規模は約2兆8000億円となった。
一時は1ドル145円台から140円台まで下ったものの、4日時点で、為替レートは再び1ドル144円台で推移している。
円安ドル高を受け、エネルギー価格や食料品の価格が上昇している。朝日新聞社が10月1〜2日にかけて実施した全国世論調査では、「生活への負担を感じるか」という質問に対し、70%が「負担を感じる」と回答した。
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