中国のロックダウン解除で世界の石油備蓄がなくなる?

新型コロナウイルスの鎮静化による中国のロックダウン(都市封鎖)解除が、世界の石油備蓄の減少と石油価格の高騰という思わぬ影響を及ぼす可能性がある。サウジアラビア最大の石油会社「サウジアラムコ」のアミン・ナセル氏の話として、ブルームバーグが伝えている。
この記事をSputnikで読む
ナセル氏は英・ロンドンで開かれた国際会議で次のように述べている。

「我々は、今向かっている方向を懸念しなくてはならない。中国が少しでも開放されたら(編注:新型コロナによるロックダウンが終われば)、石油備蓄の力は完全に失われるのだ」

中国政府の厳しいゼロコロナ政策で産業や小売があおりを受けたことにより、2022年の中国のGDP成長率予想は5パーセントから2.8パーセントに引き下げられた。一方、来年には新型コロナの影響から徐々に抜け出し、成長率は4.5パーセントと見込まれている。14億人の人口を抱える中国が脱コロナ・経済再生に舵を切れば、自然と世界の石油需要も逼迫することが予想される。
米国LNGを欧州へ転売で中国が数億ドルの大儲け WSJ紙
今後、急激に需要が伸びたとしても、現在の世界の石油業界には1日200万バレルほどしか増産できる余裕がない。これは市場全体のわずか2パーセントとなっており、長期的な円滑供給には不十分だとされている。
また、サウジアラビアは2027年までに現在の日産1200万バレルから1300万バレルまで増産する計画を打ち出しているが、この達成には数十億ドル規模の投資が必要だという。また、世界の石油需要の増大を見越して、新たな油田の発見、開発が必要だとしている。
関連ニュース
G7による露産石油への追加制裁は3段階=米財務省
世界銀行、アジアのGDP成長率予想を下方修正 中国の失速で
コメント